🎀新編 長安変奏曲(古代~近世官能シリーズ⑦)、
https://bit.ly/410wYps 第5章 天細女命と魏志倭人伝
第1話 若きウズメ
https://x.gd/cB8x7 第2話 遣魏使節1
https://x.gd/Xmepo805年の東支那海上の遣唐使船の女性たち。遣唐使船に女性が乗船するのは二度目だよね?という葵にインドの夢魔が、550年前の遣魏使の時、卑弥呼の指示でアメノウズメが乗船したことがあると昔話を開陳した。
マイトリーイは扇子をパタリと閉じて答えた。「そや、小蘭。ええとこ突くやん。『三国志』の『魏志東夷伝』いう巻に、『魏志倭人伝』ってのがあってな。そこに倭国のことが書かれてるんよ。景初2年(238年)頃、倭国の女王卑弥呼はんが魏の明帝曹叡はんに使者を送り、金印をもろた話や。倭国は海の向こう、帯方から南東に遠い島国で、百余の小国が集まって卑弥呼はんを女王に戴いとった。彼女は鬼道いう呪術で民をまとめ、弟が政治を補佐しとったんや。魏志倭人伝には、倭国の民が刺青したり、貝や魚を食べて暮らしたり、農耕や機織りをしてたことも書かれてる。ほんで、卑弥呼はんは魏と交易して、絹や銅鏡、刀剣をもろたんや。せやけど、魏から見たら倭国は辺境の小国やったから、記述は短めやね」
葵が目を丸くして、「ほんまかいな! そんな遠い国が魏とやりとりしとったん? けど、マイトリーイはん、なんで日本書紀や古事記には卑弥呼はんの名前が出てけえへんの?」と尋ねたが、最後に「ほんまかいな」が広島弁で出てしまい、マイトリーイが扇子でピシャリと卓を叩いた。「葵! 広島弁出すなって言うたやろ! 京言葉で話せ!」
葵は慌てて手を振って、「ごめんや、マイトリーイはん! つい、うっかり……ほんま、気ぃつけますわ!」と謝った。マイトリーイはため息をつき、「ええわ。まあ、気ぃつけな。ほんで、日本書紀や古事記に卑弥呼はんの名前が出てけえへん理由やけどな、これ、わての推測や。卑弥呼はんの時代、邪馬台国は強かったけど、天皇家が力を持つ前の話や。天皇家が『古事記』や『日本書紀』を編纂したんは、8世紀、奈良時代やろ? そん時、天皇の権威を高めるために、神話の天照大御神はんや天鈿女命はんを神として祀り、卑弥呼はんみたいな実在の女王は都合が悪かったんちゃうか。邪馬台国の力を認めたら、天皇家の神聖さが薄れる思うたんやろ。せやから、卑弥呼はんの名前は意図的に消されたんや。歴史ちゅうのは、勝者が書くもんやからな」