千の哀しき記憶の種から育てられた、忘れ去られし時代の遺物(アーティファクト)。
伝説によれば、刹那の女神インスタンタはまだ生きていた頃、己の追従者たちに神聖なる使命を課したという。それは、彼女の脳裏から忌まわしき秘密と記憶の破片を抉り出し、それらを種へとすり潰して一本の木を植えること。そして、その木の実を「命なき存在」へと捧げることだった。
「命なき存在」――それは、忠実な追従者たちの前に立ちはだかる、唯一にして想像を絶する器であった。
その器となったのは、魂を少しずつ失っていく不治の病に侵された、哀れな少女ソフィアだった。
ソフィアが死の淵に立たされたとき、その胸には女神の果実が埋め込まれた。それこそが、今なお命なき人形の内で脈打ち続ける、機械仕掛けの心臓である。
少女は己の周囲の時間を制御できぬまま停止させ、自身はとっくの昔に「たった一秒」の中で凍りついてしまった、内なる意識の深淵を生きていた。
