シャレンモス - 「息をする葉苔」
現在確認できている成熟した群落のおおよその特徴。
- 分類: 湿潤林に生育する多年生の苔状植物(暫定)
- 群落の直径: 約80-150cm(個々の群落)
- 群落の高さ: 約10-15cm
- 葉片の長さ: 主に約5-15mm、大きいものは約20mm
- 形態: 低く盛り上がった群落が連なり、広い範囲を覆う
- 色: 青緑色から灰緑色、外縁には淡い黄緑色が混じる
- 表面: 細かな葉片が密集し、湿り気のある柔らかな質感
- 主な生育環境: 湿った腐植土、弱い散乱光が届く森林の陰地
- 確認地域: ミオリンの森
雨の翌朝、ミオリンの森でシャレンモスの群落を観察した。
周囲の落葉は水を含み、踏むたびに泥が靴底へ付いた。木の根元から続く青緑色の葉は数メートル先まで広がり、よく育った場所では下の土がほとんど見えなかった。
一つの群落は一メートル前後の広がりを持ち、中央が緩やかに盛り上がっている。隣り合う群落の葉は互いに重なり、境目には色の濃淡が残っていた。
表面の葉を指で分けてみると、短い楕円形の葉片が何層にも重なっている。葉先は内側へ少し巻き、青みの強い部分では葉の間隔が狭い。外縁には黄緑色の葉片が混じり、土に近づくにつれて薄く広がっていた。
手のひらを置いたまま待っていると、指先に弱い押し返しを感じた。
最初は自分の手が動いたのかと思ったが、しばらくすると手の下が沈んだ。隣の葉はほとんど動いていない。場所を変えて試すと、別の部分では手を持ち上げる動きが見られた。
少し離れて眺めると、その変化は分かりにくい。同じ場所を見つめているうちに葉の重なりが持ち上がり、周囲へ戻っていく。水面の細かなうねりを思わせる動きだった。
採取した小片を切り開くと、葉の下には水を含んだ柔らかい層があり、その内側には細かな隙間が点在していた。指で押した部分はすぐには元の厚さに戻らず、湿り具合の違う部分では戻り方にも差があった。
シャレンモスの内部へ指を差し入れると、表面ほど冷たくない。水気のある植物なのに、膝をついても下の土の冷えが伝わりにくかった。
回収された狩猟記録にも、シャレンモスを寝床に利用した記述があった。地面に直接横になるより体が冷えにくく、長く休んでも背中が痛くなりにくいという内容だ。
実際に横になってみると、肩や腰の下が浅くくぼみ、体を起こしたあともその形がしばらく残った。湿った腐植土の匂いが濃い森を歩いてきたが、ここで休んでいる間は呼吸もいくぶん楽に感じられた。
水の溜まった場所では葉が重く倒れ、踏んでもあまり弾力がなかった。乾きかけた外縁では葉先が硬く、手を置いても動きがつかみにくい。
夜になっても、昼間と同じ動きが見られた。小さな目印を置いて観察すると、その脇の葉が持ち上がり、また低くなる。あたりが暗くなるにつれ、目印を見失わないようにする方が難しくなった。
翌朝、前日に横になった場所を見に戻った。肩や腰の下にできたくぼみはほとんど消えていたが、端の葉片だけは横向きに倒れたままだった。
指先で触れると、その下でも弱い動きが続いていた。
※シャレンモスは『カイロ』本編に登場する植物です。
※掲載画像は、作中の植物をイメージしやすくするために生成AIを用いて制作した参考ビジュアルです。植物設定・生態・世界観・作品本文は作者自身が制作しています。
