https://kakuyomu.jp/works/2912051596800146179/episodes/2912051596801254016赤羽神社の神主にして、古い術と武を継ぐ赤羽家の当主。
喰えない好々爺めいた雰囲気をまとい、普段は孫娘の栞や真之たちを面白がって見ているが、その実、神職としても武術家としても底知れない実力者である。巫覡として怪異や霊的な事柄にも通じ、大原住吉流の奥深い技も修めている。
主人公・酒匂真之にとっては、幼い頃から鍛えられてきた師匠筋の人物であり、無手技はほぼ皆伝に近いところまで仕込んだ育ての親のような存在でもある。一方で、孫の赤羽栞にも厳しくも愛情深く接しており、赤羽家の跡取りとしての覚悟と力を静かに見定めている。
飄々として冗談好きで、ときに核心を茶化して口にする癖がある。
「いっそ、両方と祝言するか?」
などと時代錯誤めいた爆弾発言を平然と投げるが、その軽口の裏には、古い誓約や家の論理を現代にどう繋ぐかという彼なりの現実感覚がある。ただの色物老人ではなく、古い世界と今の若者たちを結ぶ“橋”の役目を担う人物である。
物語の中では、頼れる保護者であり、試練を与える師であり、時に恋模様すら一段高い場所から見渡す盤上の観測者でもある。柔らかな笑みの奥で、家と土地と人の縁を見守る、したたかで温かい古老。