第三章「歌舞伎町トクリュウ編」の開始まで、あと4日。
本日は、“作品中で要が使った取調べ手法”の小ネタとイメージビジュアルです。
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小ネタ②『要が使った面接手法①:SUEテクニック』
『ウミホタル』で時折登場する、要浩介の取調べ場面。
例えばこちらのエピソードでは、少女達を監禁していた被疑者が証拠と矛盾する供述をしてしまい、追い詰められる様子が描かれました。
https://kakuyomu.jp/works/16818622174545478810/episodes/16818622176053251284処罰を逃れたい被疑者にとって、警察がもつ証拠に反する供述は避けたいものです。
では、なぜこのエピソードの被疑者・小林は、慎重に証拠を残さないよう行動したにもかかわらず、言い逃れのできない嘘をついてしまったのか。
ポイントは、次の3つです。
1. 有罪被疑者は情報を絞ろうとする(事件との“距離”を広げる)
2. 被疑者が想定していない証拠がある
3. 取調官が証拠を提示せずに面接を進める
まず、犯罪を隠したい被疑者は、他の情報と矛盾しない範囲で、自分と事件との“距離”が近づく情報の開示を避けようとします。
監禁事件の小林も、防犯カメラが設置された現場近くの通りまでは行ったことを認めつつ、その先の監禁現場がある建物に行ったことは隠そうとしました。
ですが小林の逃走時は、すでに月視が一帯を監視していました。
異常なほど鋭敏な視覚で、通常では視認できないはずの逃走経路や、経路上の防犯カメラの位置、さらには小林が乗った車両が映り込んだ可能性のあるドラレコ搭載車両のナンバーまで把握されていた——これが小林が想定していなかった“証拠”になります。
要は、そうした証拠をすぐに明らかにしないまま質問を進めます。
すると小林は「警察は証拠を持っていない」と勘違いし、現場に行ったことを隠し続けた結果、自分の供述を否定する証拠に直面することになりました。
こうした手法は、証拠の戦略的利用(Strategic Use of Evidence: SUE) と呼ばれ、研究でも有効性が示されています。
ちなみに要がスウェーデンで面接技術を学んだという設定があるのも、SUEがスウェーデンの研究者によって開発された背景があるからです。
……なんだかマニアックすぎて、果たして興味のある方がいるのかと不安になってきましたが、興味がある方は、こうした面接場面も楽しんでいただけたら嬉しいです。
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明日は“超聴覚を分解する”をテーマに投稿予定です。