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『あなたの死が、私の答えになる』~声にならない問いは、どこへ行くのか。

胸に深く沈んだ思いほど、言葉として浮上させるのは難しいものです。
好きな作品を読むたびに、この人はどうやってこれを言葉にしたんだろうと考えます。

胸の奥にあるものに手を伸ばして、その形……いや、形のあるものかどうかすらわからないけど、
その感触に手を伸ばして、それを文字に置き換える。
その過程が途方もないことに思えて、ずっと読む側にいました。

だから、言葉や小説が好きで、自分でも書いてみたいと思いながら、長いあいだ書けませんでした。
形になりそうな気配まではあるけれど、掬い上げた瞬間に別のものになってしまう気がしていました。

それでもようやく、こうして書いてみることにしました。

……するとどうでしょう。
今度は登場人物たちが、ほとんど喋りません。

この物語の二人は、核心に近いものほど言葉にしません。
男は本当に聞きたいことを声にしない。
言葉で尋ねても答えにはならないと、どこかで思っているから。

作家は言葉を扱う人間のはずなのに、自分に向けられているものの正体を、言葉で確かめようとしない。
一番大事なことが、二人のあいだで言葉として交わされないまま、物語が進んでいく。

けれど、声にならなかった問いは消えるのではなく、別のどこかに現れる。
そのことを、書きながら知りました。

結果として、私の小説は地の文がとても多い形になりました。

ちょうど第一話を公開する直前、創作界隈では「地の文とセリフのバランス」という話題が盛り上がっていました。

なかなかのタイミングで、目に入るたびに、正直自信をなくしたりもしました。
それでも公開してみると、読んでくださる方がいました。

こうして読んでいただけていることが、とても嬉しいです。

本編はあと一話です。
最後まで見届けていただけたら幸いです。

6件のコメント

  • 私もかなり地の文が多い人なのですが、
    仲がいい、信頼関係が築けている関係って、思ったより話さないこと多いと思うんですよね。
    話してもどうでもいいことだったり。

    でも、それは所作に出る。
    会話がない以上の会話を、どこかでしてると思います。
    そんなふうに思いました(*´ω`*)
  • 白蛇さんの作品の地の文、とても好きです。
    言葉として交わされないものが、仕草や空気に現れてくる感じがします。

    会話がない以上の会話という言葉を読んで、まさにそうだなと思いました。

    コメントまで残してくださって嬉しいです。
  • 桜城さんの初投稿作品🌹読了させていただきました!

    セリフと地の文。たしかに私もバランスを考えることはよくあります😢私は20年近く趣味で書いていますが、未だに正しいバランスとか分かりません(笑)

    でも桜城さんの作品は、地の文が美しい比喩で編み上げられていて、しっとりした純文学を読み上げたようで、胸がいっぱいです🌹

    被害者の遺族側だった人が、彼女の死の最後の瞬間を知りたくて狂気に落ちていく。ホラーの怖さというより、底知れない人間の欲望への狂気を感じました😢(見当違いだったらすみません)

    素敵な読書体験をありがとうございました!
  • みたさん🌹
    そのように感じてくださりありがとうございます🌠
    (見当違いなんてとんでもないです)

    20年も書かれている方でもバランスに悩まれるものなのですね。
    コメントを拝見して先ほど『慈雨』を読み返したのですが、
    静かな文章の中に場面のスイッチのようにお祖父様の言葉が現れ……
    なんて素敵なんだろうと改めて思いました☔✨
  • セリフが増えると登場人物との一体感が増して、
    地の文が増えると全てを知る神様視点の感覚が増して

    作品の雰囲気によってはバランスも変わってきそうですよね。
    今回の作品は、あえて言葉にしない事に意味があるのが伝わってきた気がします!
  • エレナ様
    まさに仰る通りで、作品ごとにバランスは大きく変わると思います。
    あえて言葉にしない部分まで汲み取っていただけてとても有り難いです!
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