『あなたの死が、私の答えになる』~愛の夢 第3番

この物語は、リスト『愛の夢 第3番』を聴きながら書いています。

甘美で華やかな曲として知られていますが、
原詩はこのような言葉で始まります。

 愛し得る限り、愛せ
 やがてその時は来る
 墓の前に立ち、嘆く日が

愛の甘さのすぐ隣に、あらかじめ喪失が置かれている。
この物語もどこかで同じ構造に触れているのかもしれません。

美しさが極まると、わずかな不穏さが生まれることがあります。
『愛の夢 第3番』の長いレガートも、
幸福そのものというより、
永遠に届かないものへの渇望のようにも聴こえます。

長い旋律の下で左手のアルペジオが絶えず揺れ続け、
夢と現実の境界が、少しずつ曖昧になっていくような響きです。

第三話では、
男の部屋を埋めていく本の背表紙が
「無数の墓碑」のように見える場面を書きました。

死を記した言葉を読み続けることは、
その墓碑の前に立ち続けることにも似ていると思えました。

この物語の彼は、とても静かです。
けれど、その静けさの底には、消えない時間が沈んでいる。

音楽は直接のモチーフではありませんが、
書いているあいだ、ずっと背後にあった旋律です。

よろしければ、読後の余韻とともに聴いてみてください。

同じ曲でも、弾き手によって響きはまったく違います。
どの旋律がイメージに重なるかは、
聴く方それぞれに委ねたいと思います。

2件のコメント

  • なるほど
    モチーフになった音楽を紹介するのって、物語がより立体的に感じられそうな気がします

    アニメもドラマも映画もゲームもBGMで盛り上げるのですから、小説がそれをしていけない理由なんてないですもんねっ
  • エレナ様
    たしかに、アニメもドラマも主題歌だったり挿入曲がありますね。
    言葉だけでは届きにくい部分を、音が補ってくれる感覚があります✨
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