旧王国法典の写本は、私の腰ほどの高さの、巨大な冊子だった。司書が、両手で、慎重に、閲覧机の上へ運んできて、羊皮紙の頁を、一枚ずつ、めくっていく。
「筆証は、第九巻、文書の真偽に関する章にございます」
老人の指が、ある頁で、止まった。
細かい、古い字が、びっしりと並んでいる。私は、机の脇に立って、その一節を、小さな声で、読み上げた。
文書の真偽、ことに筆跡の真偽につき争いあるときは、その文書の筆者を最もよく知る者、または筆者自身をして、衆人の面前にて筆記し、その筆跡の経過を示さしむることを得。これを、筆証と称す。
筆証の結果は、いかなる鑑定にも優先す。
筆証を求める者は、争いの相手方の同意、または、司教の許可を得ざるべからず。
息が、止まった。
「優先する」
声が、掠れた。
「いかなる鑑定にも、優先する、と」
「そのように、書かれております」
