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国より先に死んだ文字 第9話 『一九三九年、商工省』 挿絵

 三月のある朝、印刷所の正面玄関に、新しい看板が掲げられた。それまで長く掲げられていた「トゥヴァ人民共和国文化省 国立印刷所」の文字が外され、代わりに「トゥヴァ人民共和国商工省 国立印刷所」という文字が、まだ真新しい木の板に彫られて取り付けられた。

 ダンザンは、その入れ替え作業を、通勤の途中に目撃した。二人の作業員が、古い看板を外し、脇に立てかけているところだった。文化省、という文字の上に、朝の光が、少しの間だけ差し込んでいた。それから、作業員がその板を裏返しにして、壁に立てかけた。文字は、それきり見えなくなった。

第9話 『一九三九年、商工省』
https://kakuyomu.jp/works/11054822662889703133/episodes/11054822662928845657

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