すれ違い続ける女の子同士の物語が、とても好きです。
どうしてだろう。手を伸ばせば届く距離にいるのに、心はなかなか重なり合わない。その焦燥とか、じれったさとか、まるで教科書に出てくる難しい詩の行間を読むみたいで、胸がきゅうっとなるんです。
友達以上なのに友達だと言い張ったり。
恋だとわかっているのに、まだ言葉にできなかったり。
その曖昧さは、毎日の中にもあるみたいで、図書館の窓際で光を反射するガラスよりも繊細にきらめくのだと思います。
もし簡単に結ばれてしまったら、きっとその物語は甘美ではあっても、一瞬で終わってしまう。けれど、すれ違って、悩んで、ため息のように長い時間をかけて、ようやく触れ合えるからこそ、「ああ、やっと」という救いが訪れる。そこに、文学的な美しさを見てしまうのです。
……でも、もやもやするんです。
じっとページをめくりながら、「早く、くっつきなさいよ!」って、思わず声に出してしまいそうになる。
それでもまだ結ばれないから、余計にまた次のページをめくらずにはいられない。
だから、くっつかない百合が好き――というより、「まだくっつかない」時間そのものが、宝物みたいに尊いのだと思います。
