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トレモロ 2巻 3章 1話

⭐️2章のあらすじ⭐️

アースで仏像を取り戻したクラウン達。14歳になったクラウンとみなで免許を取りにジュピターステーションに向かう。ブラストは教習場で出会ったガールフレンドとの別れを経験した。リフレッシュをかねて仲間とバカンスと観察クエストにプロキシマケンタウリbに向かう。白夜のフェスティバルに参加し、犬達はブラストのエレメントストーンを見つけ手に入れた。数週間、究極の自由を味わい、仲間達と友好を深めたのであった...。

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生物観察のクエストを終えた翌日。みな、すっきりした顔で目覚めた。定点カメラの回収に湖にでかけた。

焚き火でブランチを作りゆっくり食べて、定点カメラを回収した。

夕方、空は薄暗くなって、うっすら星空も見えた。あと数日で極夜になる。極夜になるとフェスティバルは終わる。

カメラ機材の返却やチェックアウトにフェスティバルの受付に行くと、虎徹とチョコに招待状が届いていた。受付カウンターで開いた。

ー招待状ー
「プロキシマケンタウリc エクストリーム事務局です。ケンタウルスカップ優勝おめでとうございます!動画は国内でも大人気です。私たちはケンタウルスカップの人気急上昇の選手を誘致しています。そちらはもうじき極夜になるので、もし出航される際には、こちらにもお立ち寄り頂き、デモンストレーションとインタビューをさせて頂けませんでしょうか?渡航費、滞在費は負担します。返答お待ちしています。」エクストリーム誌「JET」担当ラファエル。

「ちょうど出る所だし寄ってみるか。」スノーは虎徹に言い、虎徹は首をかしげるも、うなずいた。虎徹は招待状に返信した。受付カウンターのヒューマノイドの男が声をかけた。

「サムライ!プロキシマケンタウリcは今年から色々解禁になった場所だから、違法な物や変わった人が多いから気をつけて、いってらっしゃい。またフェスティバルに遊びに来てね。優勝オメデト!」

チョコは嬉しそうにジャンプし、受付の男はカウンターから出てきてチョコをなでた。虎徹は受付の男と握手を交わした。

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サイプレス号。
1日半かけて隣の星、プロキシマケンタウリcに向かう。
ハニはたくさんログを残していた。モニターにランダムに流れ、アイスクリーム屋のベンチで寝る紙袋男が出る度に笑いを誘った。

ブラストは横目に雷涎香を嗅ぎながらzoneに入った。雷涎香をポッド内に入れ、アビリティ「竜巻」をアンロックした。ブラストは「ストーム」と名付けた。

竜巻を起こしてダメージを与え、クリティカルヒットで雷撃追加ダメージ。ブラストはループするモーションを見ながら、フェスティバルに参加できて感謝の気持ちでいっぱいになった。

みなもクエスト報告したが、簡単なクエストだけに、誰もレベルアップはしなかったが、感動をたくさん経験できた。フェスティバルがアンロックされ、たくさんのトロフィーを取得した。

クラウンがzoneから出ると、ブラストが嬉しそうに言った。「新しいアビリティで遊ぼ。」クラウンはブラストとハイタッチした。

みなモニター前に集まり、シュミレーションで時々雷撃が落ちると歓声が上がった。

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翌朝、クラウンとハニがあげたギルドへの報告、珊瑚の産卵ログにヴァルからポップなスタンプ付きのリアクションが届いた。

クラウンとハニ、ブラストもヴァルの環境活動のログにド派手なスタンプで返した。

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プロキシマケンタウリcに到着。
ドックに5人と2匹は降りた。
プロキシマケンタウリbより暖かかった。ゲートでケンタウルスカップ、チャンピオン御一行様とディスプレイを出した男が手を振って待っていた。

「JETのラファエルです。来訪に感謝します。あれ?!3位のスノーさんペアもお仲間でしたか!ん?みなさん、ギルドじゃないですか?!ぜひ一緒に取材させてもらってもいいですかー?」

ラファエルは30代くらいの褐色の肌に、金髪の刈り上げパーマで気の良さそうな感じだ。
ラファエルのバンに乗ってエクストリーム競技のコースがある山に向かった。

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ラファエルは運転中もコースのデータを送りつつ、子どもたちにコールしてベンチで待つ様に喋ったり、ヒューマノイドらしくマルチタスクに長けている。

山の駐車場に着くと、みなで自転車を選び、チョコとゴーストはペット用のオヤツを食べて元気いっぱいだ。

ラウンジにみな集まった。

大人気と聞いていたが、記者はラファエルとローカル新聞の記者だけだった。

スノーがキョロキョロして「これで揃ったのか?」たずねた。

「それが、まだ解禁されたばかりだから、大袈裟に言って君らの気を引いただけで、実際はこんなもんさ。」

「ああ。」虎徹はそっけなく相槌した。

「でも、これから絶対火がつく記事を書くからね。君達の記事をみて、目指す子供達がいっぱい増えるぞ。この国でもエクストリーム競技の人気が高まるのは間違いないさ。」

ラファエルはベンチで待っていた子供達を呼び込んでビブスを配った。「金髪のこの2人はゴールデンベビー、名前を言って。」

子供達は恥ずかしそうに自己紹介した。

「ヒューマノイドのこの2人は女の子は足、男の子は腕と胸を競技用にアップグレードしてるから早いよ〜。ほら、挨拶して。」

2人とも将来はエクストリーム競技の選手になりたい夢を持っていた。

「最後の2人はスターベビーだよ。挨拶できる?」ラファエルが2人の背中に手を当てた。一番シャイだったが、黒人と白人の2人は親友で、お揃いのペットロボを飼っているそうだ。

ギルドのみなも自己紹介した。
クラウン達も自転車をレンタルして一緒にコースに向かった。子供達が見本を見せて、初級コースから走って遊んだ。中級コースまで、みなアドバイスしあって進み、上級コースは虎徹とスノーのデモンストレーションにみな大興奮した。

虎徹はケンタウルスカップの時より、色んなトリックをきめてみせた。後ろ宙返りや体を自転車から浮かせジャンプした。スノーもゴーストと交差してジャンプしたり、見事な連携プレーをみせた。子供達は大喜びし、記者の2人も夢中で撮影した。虎徹とスノーは子供が好きな様だ。

あっという間に3時間ほど経ち、泥だらけになった。みな、すっかり仲良くなった。子供達にサインしたり記念撮影をした。ラファエルはホテルまで送ってくれた。すっかり夜になっていた。クラウンは車窓から久しぶりの夜景を見てほっとした。

ラファエルは気を効かせて、インタビューは明日、ホテルのレストランの個室で行う事にしてくれた。帰り際にラファエルは、発行している「忘れ去られたスターベビー」と書かれた冊子をみなに配って帰った。

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ホテルの部屋に戻り、順にシャワーを浴びた。待ち時間にクラウンはもらった冊子を読んだ。

内容は思わせぶりな文章ばかりで、最後は推測だった。クラウンはだんだんと、しかめ面になり読み終え「なんだよ。」と、小さくぼやいた。

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翌日、インタビューの為、ホテルの朝食を済ませ、個室にみな集まった。ラファエルはセッティングしながら、昨日、撮れたログをみせてくれた。どのショットもカッコ良かった。子供達の笑顔も幸せそうだ。ラファエルもご機嫌だ。

「虎徹とチョコペアから話を聞かせて。」緊張気味の虎徹にクラウン達も一緒に緊張した。

前日、色々な話をしていたので、いくつかの質問に虎徹は完結に答え、スノーも続けてインタビューを終えた。

30分くらいでインタビューは終わったが、ラファエルはギルドのみなの話を聞いて興味が湧いた様で、別の取材も兼ねて「エイリアン」をテーマに雑談しょうと提案してきた。

ラファエル「君達に親はいるの?クラウン話して。」

「僕たちはマーズ生まれだから親はいないのが殆どだよ。一応マーズにもアースからの先住者のファミリーはいるし、生態タイプの違う種族も親なしが多いよ。」

ラファエル「両親にあたるのは、スターベビーの開発会社?ブラストどう?」

「オレらにとってはA Iがマザー、シップがファザーって感じかな。」

ラファエル「なるほど。虎徹はアースだから親がいるのが当たり前?スターベビーは珍しい存在?」

「そうですね。しかし、マーズからの移住者も増えているから、スターベビーはもう珍しくはないな。」

ラファエル「AIに育てられるってどんな感じなんだろう?」

「融通が効かない!」クラウン、ブラスト、ハニ、スノーは一斉に同じ事を言った。

ラファエル「うー!揃った。ハニのマザーはどう?」

「10才になるまで口うるさいよね。」ハニはクラウン達を見た。みな、激しくうなずいた。

ブラスト「けど、マザーの言う事って、だいたいあってるし、そうした方が幸せなんだ。」

クラウン「僕、無理矢理改造してる。」

ハニ「クラウンのマザーちょっと変わってるもんね。」

クラウン「そう?」

ハニ「ちょっとルーズっていうか、多めにみてくれる感じ?私のマザーより優しい感じがして私は好きだけど。」

ラファエル「どうやって改造したの?」

クラウン「メンテナンスの時にプログラミング書き換えたり、パーツ交換する時、いらないやつ捨てた。」

ブラスト「マジで。やるね。」

クラウン「でないとゲームチャンピオンになんてなれないよ。」

ラファエル「インタビューに協力してくれてありがとう!君達のおかげでリアルな声が聞けたよ。ギルド向きの仕事に興味ない?5クレジット出すよ。」

「安!」クラウンは驚いて思わず声が出た。

「クラウン。こら。」ハニが優しく言った。

ラファエル「いいんだ。この国は9クレジットで殺しだってやる奴がいるんだ。それに君達は金の為だけにギルドやってるわけじゃないだろ?」

「ぐぬぬ!モチベーションあげるのが大変なんだよ。」クラウンはしかめ面で言った。

「はは!」ラファエルは笑ってクラウンの背中をトントンと優しくなだめた。

ハニが手を差し出すと、虎徹が手をのせ、スノーもすかさず乗せた。
ブラストはクラウンの顔をみて、仕方ないって顔でのせ、クラウンは最後に手をちょこんとやる気なさそうに合わせた。


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続く。

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