もともと、いくつもの物語を頭の中で妄想しているのが好きでした。
有名な話ですが、チェンソーマンの藤本タツキ先生が中学生の頃、頭の中で雑誌を作り、複数の連載を抱えていたというエピソードがあります。
比べるのは大変おこがましいのですが、私も似たようなことをしていました。
もちろん、完成度はまったく別物です。
そんな中、ある連載作のひとつを「きちんと形にしてみたい」との思いに駆られました。
まずは世界観を細部まで詰める作業に一か月ほどを費やしました。
その後、物語を書き始め、気づけば思いつきから一年が経とうとしていました。
構想上は二十章ほどの、わりと壮大な物語。
しかし進捗は三章の途中まで。それも完成度は低く、公開にはさらなる推敲が必要な状態。
「これ、終わらないのでは……?」
そんな不安がよぎり、正直なところ、少し心が折れかけました。
そこで方針を変え、この物語に登場するキャラクターの過去を、短編として先に発表することにし、ようやく公開にこぎつけた次第です。
過去編という性質上、物語はやや暗めになります。
それでも最後には、ほんの少しでも希望を感じられる結末にしたいと思っています。
もしよろしければ、お付き合いいただけると嬉しいです。