まずは、本作をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
本作をよりお楽しみいただくため、本文中のモノローグだけでは伝えきれなかった世界観について、ここで簡単に補足させていただきます。
物語の舞台は、架空世界「エスカティア」。
この世界で用いられている暦――女神歴《アストレア・レギナ》では、作品舞台はおよそ四九九一年前後にあたります。
文明レベルは、私たちの世界における十九世紀から二十世紀初頭をイメージしています。
祝福による停滞の影響もあり、年数のわりに文明はそれほど発達していません。
人々は魔物に対し、「魔導《マギア》」と呼ばれる力を駆使して立ち向かいます。
魔導の発動には、火・水・風といった属性を付与された武具が媒介となり、魔導士が武具を具現化することで使用可能となります。
なお、魔導については、本作では深く触れていません。
また、「覚醒者」と呼ばれる存在が、魔導とは異なる人の理を超えた力を振るいます。
この力の詳細については、物語の進行とともに明かされていきます。
モノローグの後、序章を経て、本編のエピソードへと物語は進んでいきます。
本作は、もともと構想していた物語の外伝的な位置づけではありますが、単独でもお楽しみいただけるよう配慮しております。
外伝という性質上、長編にはなりません。
だからこそ、ぜひ最後まで見届けていただけましたら幸いです。
最後に。
本作には、どうしても描きたいエピソードが三つあります。
公開は少し先になりますが、そのエピソードを見届けていただけましたなら、これ以上の喜びはありません。