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語彙力を増やすとき


 個人的に熟語、難読系を覚えるより助詞や副詞を覚えた方が良い。これは語彙を増やす段階で、実際に使うと言葉が飾り、浮く方にこそ意識して欲しい話でして。

 そもそも、言葉が浮く、飾りにしかならない、のは言葉を知悉していないからなんです。字面や意味だけで常用外等を用いるといかんのです。

 何故か?

 シンプルです。ニュアンス、感覚、イメージ、想像、〇〇な感じ、文脈、まで覚えていないからなんですよね。

 ニュアンスとはなんぞや?

 超分かり易い言葉があります。

 誰何(すいか)

 ざっくりした意味
誰? 何?

 ニュアンス
 問い掛け

このまんまです。大事なのはニュアンスで、類語を覚え、語彙を増やす際にも活用出来ます。私は言葉のニュアンスから暗記して、紐付けしているんですが。


例①
 恰(あたか)も


《意味》
まるで
まさに

《ニュアンス》
『それな』(同意が含まれるような、肯定的な言葉群の一つとしても暗記する為)


例②
泡沫(うたかた、ほうまつ)

《意味》
 水面に浮く泡

《ニュアンス》
 『儚い』『脆い』


 これは有名ですよね。黄昏にニュアンスで『感傷』や『切なさ』を含ませるのと同じです。


 つまりですね、ニュアンスさえ覚えれば大体はおkなんですが。これってニュアンスが読者に伝わるようにしないとアカンのですよ。

 一枚の絵を浮かべさせるイメージと同じで、どんなに難しく読み難い言葉だろうが、文脈なりで『ニュアンス』を与えれば読めるんです。正確な意味ばかり先行すると、肝心の文章構造、文脈設計が破綻する。

 そうなると言葉が浮いて、飾りになるんです。

 文脈ってのは……あー……ほら。

 キャンバスは真っ白やないですか、そこに黒を落とすと浮くやないですか。なら白に近付けましょうね、みたいな。

 逆に。

 真っ白なキャンバスに黒を垂らすような、そうした虚空(読めない言葉)も周囲の白――ニュアンス、文脈がその『虚空の読み方』を浮き彫りにするんすよね。

 木を隠すには森の中へ、とも言い換えは出来ますが。

 兎に角。


 一番大事なのは文脈、ニュアンスなんです。読めずとも他で補完すれば『読める』し、それが上手いと『浮かない』し『必然性のある言葉配置』になります。

 難し……い……かな……? 感性じゃなくて、共通認識の築き方とか、情報共有の話なんですよね。

 食卓で卵焼きを食べる際にソース、ケチャップ、醤油……とありますが。

 対面の誰かに『そのケチャップを私にください』とは言わんでしょう。

『それちょうだい』の一言や、なんなら『ん』でも伝わるでしょう。

 無言の目配せでも通じる。

 これが文脈やニュアンス、共感、察し、等に繋がる訳です。それが破綻し易いのが、ニュアンスなりを把握せずに置いた言葉なんですよね。

 解決策は上記の通りです。ええ。難しくはないです、言葉のニュアンス、硬さ、温度、肌触りを意識しましょう。もし読み難いものなら、他で補完可能な道筋を作りましょう。勿論、絶対ではありません。

 時たまに突き放す必要はあります。

作者『分からない? 知るか、調べろ(圧)』も、必要な機会はあるでしょうから。それが作品強度を上げるならば問題ないです。

 飾り立ての、知識自慢の、単なるひけらかしなら『くたばれ作者』でOKっす。


 そんな訳で。

『言葉のニュアンスを覚えると実践的な語彙が増えます』と『覚えるべき言葉は形容詞、副詞、助詞からすると良い』な、話でした。


 あ、だから、今日は更新はねえです。書いてないよね、普通に(⁠◕⁠ᴗ⁠◕⁠✿⁠)

 はは。

3件のコメント

  • 「それちょうだい」とセリフを書くためには、どこかでケチャップが目の前にあることを示さなければいけないんですよね……。ソース、ケチャップ、醤油も並んでいたら……。
     地の文で書くのか、セリフで書くのか、書き方の説明を読んでもとても難しい。
     ディーン・R・クーンツは実際の会話文と小説のセリフが違うと書いていて、どこまでセリフにのせるのか、が分からなくて不勉強です。
     良いヒントを貰えました。ありがとうございます。
     無駄に辞書を引いているのですが、語彙的には意味があるんですね。
  • Shino Akizukiさんへ

    それは『説明』と『描写』の違いだと思います。作品の向かう方向性、演出によりこの二つの比率は変化しますが。

     地の文で語る場合も、台詞で示す場合も、説明にするか描写にするかは悩む所ですよね。これは読者の理解力をどこまで信じるか、の話でもあります。

     私は動作や物質、そうした現実の動きを描写して代弁させる――描写に傾倒してますね。

     専門用語だと、客観的相関物(Objective Correlative)の技法です。これって突き詰めると読者の視点(共感、共鳴)を信じるしかない技術で、どこまで読者を信じるか、どこまで手を取って導くか、が鍵です。

     とどのつまり、あなたが書き目指すのは『そこにある体温』か否か、です。

     それを踏まえて。台詞や地の文で『どこまで読者を信じ説明を消し飛ばして、ニュアンスや文脈で察せと迫るか』なんですけど。

     この比率の悩みは誰に向けて書いているのか、どう読まれたいのか、にあると思います。シンプルに噛み砕くと、作家性ですね。私は消し飛ばす人間なので、短編とかは吹っ切ってます。


     因みに、私も辞書大好きマンです。
  • 丁寧なご返答ありがとうございます。
    「読者を信じて」の「読者」層はどこに設定するのか? で時々悩みます。
    (WEB小説は誰でも読めますし、説明した方が読みやすい気がしてしまう)カクヨムはWEBですし、本を買う人とまた違う気がします。
    ライトノベルだけ読む人もいるし、ニュアンスだけや専門的な事を入れてしまうと難しくなるし、と書いてしまってから読みやすくしようと思うと説明が増えてしまう。(その前に筆力がないですが)

    小説(お話を書く)は、単に日本語を書くだけではとても難しいと書く側になってみてから感じて、コラムを拝見させていただいてようやく意味が分かりました。

    客観的相関物(Objective Correlative)の技法について、調べてみようと思います。
    ありがとうございました。
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