彼女は今もなお、星々の影の中に在るという。
砂漠の息吹から生まれ、神でも人でもない存在。
夜の中心で叫ぶ、風の影。
その名を、誰が最初に呼んだのかは知られていない。
かつて、イナンナの庭に立つフルップの樹の根元で、
彼女は囁いていた。
星に消された姿で、理解されぬ言葉を。
神々でさえ、その意味を測れなかったという。
彼女には王座も神殿もない。
あるのは、世界と世界の狭間、
光が届かぬ空白のみ。
ギルガメシュが斧を掲げたとき、
彼女は逃げたのか。
それとも、星の奥へと溶け込んだのか。
答えを知る者はいない。
ある者は言う。
彼女の叫びは呪いではなく、問いなのだと。
――光の向こうには何があるのか。
――星が死ぬとき、沈黙は誰に語られるのか。
夜空を見上げる者の瞳に、
影よりも暗い輝きが触れるとき、
それは彼女なのか、
それとも、問いそのものなのか。
