数ある企画の中から、再び(あるいは初めて)見つけてくださり、ありがとうございます。
主催者の私は、言葉というパレットを使って、心の中の景色を写生する楽しさに魅了されている初心者です。
前回の「視点の移動(カメラワーク)」では、私たちが世界を見つめる「レンズ」そのものをダイナミックに動かして、読者の景色をガラリと変える魔法に挑戦しました。皆様が部室に持ち寄ってくださった、ミクロとマクロの行き来や、ラストの一瞬で景色がガラリと反転するような素晴らしいカメラワークの作品たちに触れ、まるで映画館の特等席で美しい映像を眺めているような、贅沢で愛おしい時間を過ごさせていただきました。
今回は、言葉を伝えるための最も分かりやすい道具である『会話文(セリフ)』をあえて封印し、行間や描写に心を語らせる「引き算の魔法」をみんなで練習してみたいと思います。
■ 今回のテーマ:会話文(「」)の封印
物語の中でキャラクターが口にするセリフ(「」で囲まれた会話文)を一切使わずに、彼らの表情や仕草、視線の動き、周囲の景色の変化、あるいは光や影の揺れ、音や匂いなどを用いて、その関係性や心のやり取りを表現する技法です。
・通常(会話あり):
「さよなら」と彼女は言い、手を振った。
「またね」と私は答えた。
・封印(描写のみ):
彼女は小さく手を振り、夕闇の向こうへと歩き出した。引き留める言葉は私の喉の奥に張り付いたままで、代わりに伸びた影だけが、遠ざかる彼女の背中に向かって寂しそうに伸びていた。
・効果:
直接的なセリフに頼らないことで、読者にはより深い緊張感や、じわじわと胸に染みるような心の距離感が伝わります。また、地の文が持つ「描写の力」がぐっと鍛えられ、物語に豊かな余白と奥行きが生まれます。
「『悲しい』と伝えるために、言葉ではなくただ手元で冷めかけていく珈琲の湯気を見つめてみよう」「何も言わない代わりに、ぎゅっと握りしめられた指先の白さに視線を寄せてみよう」など、セリフを使わずに感情を伝える、実験的な気持ちで大丈夫です。
私自身も「この沈黙は、どんな情景で語ろうかな?」と、言葉の余白をそっと愛おしむような気持ちで投稿します。
■ 補足:「これまでの技法」との組み合わせ
今回の「会話文の封印」は、これまでに文芸部で練習してきた技法とも非常に相性が良いです。
・擬人法: モノに心を与えることで、沈黙する登場人物の代わりに周囲の調度品や風に感情を代弁させる。
・視点の移動: 視点をスッと寄せて、口にできない二人の「手の動き」や「視線の交差」をクローズアップする。
もちろん、難しい定義は脇に置いておいて、あなたの直感が選んだ「言葉のない美しいやり取り」を置いていってください。
■ 参加ルール(ゆるく、心地よく)
・形式: 詩、散文、短歌、小説の一部など、形式は自由です。
・内容: 会話文(「」で囲まれたセリフ)を一切使わずに、人物のやり取りや心の動きを描写した作品、あるいは会話の封印による「余白」を意識したフレーズが一つでも入っている作品。
・交流について: 読み合いや感想の強制はありません。「練習作」や「書き置き」として置いていくだけで大丈夫です。
⚠️ 【主催者から大切なお願いと注釈】
・内容に関するお願い
政治や宗教、犯罪、過度な暴力や性的表現など、少しコメントしづらい内容の作品に関しては、読ませていただいても応援メッセージなどを控えさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。
・作品の「再参加」に関するご注意
過去に参加された作品を一度取り下げて「再参加(再投稿)」などされた場合、システムの仕様上、最新のリストではなく過去の位置に埋もれてしまい、主催者が気づけない場合がございます。こちらもあらかじめご了承ください。
・話数について
主催者の確認時間の都合上、10話を大幅に超える長編作品については、すべてに目を通すことができない可能性がございます。参加は大歓迎ですが、その点だけご了承ください。
■ 主催者より
初心者の方も、ベテランの方も、どうぞ気楽に部室のドアを叩いてください。
「語らないことで、余白がより深く語り始める。それだけで、世界は静かで愛おしい物語へと姿を変える」。そんな言葉の魔法を、みんなで机を並べて楽しめたら嬉しいです。
皆様の豊かな感性が描き出す、言葉を超えた美しい沈黙の物語を心よりお待ちしております。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「自主企画】第15回カクヨム文芸部 ── お題:会話文(「」)の封印」を選択してください。
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