数ある企画の中から、再び(あるいは初めて)見つけてくださり、ありがとうございます。
主催者の私は、言葉というパレットを使って、心の中の景色を写生する楽しさに魅了されている初心者です。
前回の第15回「会話文(「」)の封印」では、言葉を伝えるための最も分かりやすい道具である『会話文(セリフ)』をあえて封印し、行間や描写に心を語らせる「引き算の魔法」に挑戦しました。皆様が部室に持ち寄ってくださった、静かで美しい沈黙や、ハッとするほど切ない余白の物語たちに触れ、まるで静謐な映画のワンシーンを見つめるような、贅沢で愛おしい時間を過ごさせていただきました。
今回は、私たちが物語を紡ぐ「語り口」そのものにそっと変化をつけて、読者や対象との距離感を一瞬で変えてしまう表現手法にみんなで挑戦してみませんか?
■ 今回のテーマ:二人称表現(「あなた」への語りかけ)
普段の物語は「私・僕(一人称)」や「彼・彼女(三人称)」の視点で描かれることが多いですが、今回は語りかける対象を「あなた」「君」「お前」、あるいは読者自身に設定する「二人称表現」に挑戦してみたいと思います。
目の前にいる誰か、遠く離れた大切な人、過去の自分、あるいは画面の向こうの読者に向かって「あなた」と語りかけることで、物語に不思議な魔法がかかります。
・例:
「あなたが笑うと、世界のざわめきが少しだけ遠のく。雨の音も、通り過ぎる車のエンジン音も、すべてがあなたの声を際立たせるためのBGMに変わってしまうのだ。」
・例:
「覚えているだろうか。あの夏、君が置き忘れていった透明なグラスの底に、今も小さな光が揺れていることを。」
・効果:
「あなた」と呼ぶことで、まるで手紙を読んでいるような親密さや、目の前で秘密を打ち明けられているような切なさが生まれます。また、視線の向きが特定対象へ固定されるため、読者の心を一瞬で物語の内側へ引き込む強い没入感と余韻をもたらすことができます。
「『悲しかった』と自分の心情を語る代わりに、『あなたがそっと差し出してくれた温かいお茶の湯気を見つめていた』と語りかけてみよう」「『静かだ』と書く代わりに、『君が息をのむ音まで聞こえそうだ』と相手に意識を向けてみよう」など、言葉の矢印を「あなた」へ優しく伸ばしてみる、実験的な気持ちで大丈夫です。
私自身も「この想いは、どんな『あなた』へ届けようかな?」と、言葉の先にいる誰かの佇まいをそっと思い浮かべるような気持ちで投稿します。
■ 補足:「これまでの技法」との組み合わせ
今回の「二人称表現」は、これまでに文芸部で練習してきた技法とも非常に相性が良いです。
・視点の移動(第14回): 「あなた」の佇まいや手元へカメラをズームインさせたり、遠ざかる背中へ視点をスライドさせたりする。
・会話文の封印(第15回): 直接の対話(「」)を使わず、「あなた」の仕草や表情を静かに見つめる地の文だけで想いを伝える。
もちろん、難しい定義は脇に置いておいて、あなたの直感が選んだ「『あなた』へ届ける優しい言葉」を置いていってください。
■ 参加ルール(ゆるく、心地よく)
・形式: 詩、散文、短歌、小説の一部など、形式は自由です。
・内容: 二人称表現(「あなた」「君」「お前」など、特定の対象や読者への語りかけ)を意識したフレーズや展開が一つでも入っている作品。
・交流について: 読み合いや感想の強制はありません。「練習作」や「書き置き」として置いていくだけで大丈夫です。
⚠️ 【主催者から大切なお願いと注釈】
・内容に関するお願い
政治や宗教、犯罪、過度な暴力や性的表現など、少しコメントしづらい内容の作品に関しては、読ませていただいても応援メッセージなどを控えさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。
・作品の「再参加」に関するご注意
過去に参加された作品を一度取り下げて「再参加(再投稿)」などされた場合、システムの仕様上、最新のリストではなく過去の位置に埋もれてしまい、主催者が気づけない場合がございます。こちらもあらかじめご了承ください。
・話数について
主催者の確認時間の都合上、10話を大幅に超える長編作品については、すべてに目を通すことができない可能性がございます。参加は大歓迎ですが、その点だけご了承ください。
■ 主催者より
初心者の方も、ベテランの方も、どうぞ気楽に部室のドアを叩いてください。
「『あなた』と呼びかける。それだけで、言葉は静かな手紙のように誰かの心へと届き始める」。そんな言葉の魔法を、みんなで机を並べて楽しめたら嬉しいです。
皆様の豊かな感性が描き出す、愛おしく切ない二人称の物語を心よりお待ちしております。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「【自主企画】第16回カクヨム文芸部 ── お題:二人称表現(「あなた」への語りかけ)」を選択してください。
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