「寛政」を含む小説

【メフィスト賞2024下半期応募作】 時は寛政、江戸の町。初夏の川から青年の骸が二人上がった。彼らはともに麻疹に罹り、同じ神社のお守りを持っていること以外は詳細不明。 捜査を受け…

江戸は寛政の頃の話である。 お照が紹介された奉公先は吉原の菓子屋。 そこの女将こそはフランス革命から逃れてきた王妃マリー・アントワネットであった。 菓子作りを学びながら息子のシャ…

甲子夜話の現代語訳をしつつ、ちょくちょくコメント解説なんかできればなっていう。 ＊試行錯誤しながら始めるので、こうしたらいいよとかご意見ありましたら歓迎です。 甲子夜話： 平戸…

とんだ騒ぎになった花見の宴の席に背を向けて歩み去る浪人に向かって、 「東洲斎先生！」 浮多郎が呼びかけた。 「先生が甚兵衛を？」 浮多郎がたずねると、東洲斎は無精髭の顎を撫でなが…

　寛政の世は令和から230年もの昔である。 　徳川家将軍のそば近くで幕政に鉈をふるったのが老中の松平定信。 　「白河の清きに魚も棲みかねて…」と、江戸市中で風刺されたほど、老中を…

関 太郎吉、のちに伝説の力士となる少年は、不思議な夢を見る。 『野見宿禰と当麻蹴早の角力（すまひ）』 寛政の世に、江戸の土俵に降臨した雷電為右衛門。 身の丈六尺五寸（約197c…

時は現代。 増加する凶悪犯罪の影に、明らかに異質な痕跡が見受けられ、しかし捜査されなかった。 警視庁捜査一課に配属された新米刑事、中村綾香は、その痕跡を指摘して左遷された。 転属…

この世の終わりに、神と悪魔の軍勢が果てしなく戦い、ついには神の軍勢は敗れ、地獄の闇の底で蠢く魑魅魍魎が千切れた兵士の死体をむさぼり喰らう夢を浮多郎は見た。 「浮さん、たいそうひど…

寛政の世、エルフ・ドワーフ・人間が共生する江戸で、巧妙な偽金が出回り始める。古着屋の得之助は、エルフの見習い両替商シルワン、ドワーフの鍛冶職人グランツ、密偵の芸者お糸と共に真相に…

　太平の世といわれた江戸時代。武家社会で大切にされたのは家督を継ぐ長男のみで、兄弟へのしわ寄せは半端ではなかった。中川四郎七もまた、そんな武家社会に虐げられ続けた侍であった。

寛政六年、江戸。神田相生町は嘉右衛門店、通称しじみ長屋に暮らすおみなをはじめ、吾妻橋袂中之郷に住む麻里や秋川筋伊奈村から訪れる安東家の奥方ほか、江戸の町に息づく人々の間に吹き込む…

橋の向こうに、小役人が引く裸馬にまたがった白いさらしの屍衣を着た新吉が現れた。 そこで馬を降りた新吉は、手鎖に結んだ縄を小役人に引かれて泪橋を渡った。 刑を執行する三人の非人たち…

〜〜　８月２８日完結　〜〜 天明から寛政へ元号が改まったころ。 尼僧の辰（シン）は、800年前に人魚の鱗を飲まされたことで不老不死になった。 望まずに死ねない辰は過酷な人生に厭…

幸吉の女房のお春は、大家が集めてくれる針仕事で忙しかった。 今夜も明かりをともして七五三の晴れ着に針を通していたが、吹き込む風もないのに燭台の明かりが消えたのを、お春は不吉に思っ…

ある日、遊女の清花は、小間物屋が商うべっ甲の櫛を見て、欲しいと手に手取ったが……。

大門をくぐると目の前に広がるのが、仲の町の大通り。 大通りとはいっても、両側には引手茶屋が軒をならべ、夜ごと花魁道中が繰り広げられる吉原の大広場といってもいい。 毎年の恒例行事の…

甲州の在から江戸に出て丁稚奉公からはじめた安兵衛は、じぶんで古着屋の店を始めて財をなした。 ひょんなことから二人の妻を持ち、得意の絶頂にあったが、やがて夜の生活が思うにまかせなく…

『序』のみ公開中です。 『登場人物』および本編は、改めて公開させていただきます。 《参考資料》 ・国立国会図書館 　『明月記　第三』明治四十五年　国書刊行会 　『安部晴明簠…

江戸寛政のご改革のさ中、高位の僧侶、侍、町人たちが次々と糞尿まみれの辱めを受けて非業の死を遂げる！ 持てる者たちへの貧者の意趣返し？ はたまた正義の使者による無差別殺人なのか？ …

大川に注ぐ山谷堀の河口に架かる今戸橋の橋桁に、心中者の死体が引っかかっていた。 裸で抱き合うようにして腰を縄で縛りつけた死体だが、それぞれの喉には致命傷の刺し傷が・・・。 検分に…