「光 掌編」を含む小説

ミハシは一度なら事故だと言う。

　深夜バスで隣り合った、名前も知らない男女の一夜の物語。 　 　交わした言葉は、「ありがとう」と、「すみません」の、二言だけ。 　共有したのは、サービスエリアの、一本の煙草の煙だ…

何度も黒く塗り重ねた絵の中に、まるで光のように浮かぶ黄色い円。 先生はそれを見て「月が綺麗ですね」と笑う。 その絵が月ではないと気づいたとき、もう遅かった。 ※たねありけさんの…

夜の寝台列車で偶然隣り合った青年と大学生の彼女。 眠れない夜に交わすことば、揺れる光、曖昧な予感。 ビュッフェで分け合った静かな時間は、 朝になれば跡形もなく溶けてしまう——そん…

どこかの異世界で起きる、どうしようもない“日常”のお話。 友人の身体が乗っ取られても、 プロポーズが悲惨に終わっても、 厨房が爆発しても―― まぁ、人生いろいろ。 笑ったり、…

暗闇に行き先を失った少年は、ただ走り続けるしかなかった。 そこに灯ったひとつの光――友の提灯が、彼の世界に小さな道を照らし出す。

弱っていく姉の背を追いながら、妹は雨の中を歩く。金魚の赤い光と、透明な傘と、そして青い傘と。そして、ふたりの最後の朝へとつながっていく。

この世に存在しなかった全く新しい味、虚味《うろみ》が世界に普及したにもかかわらず、蕎麦屋を営む父は頑なに虚味調味料を取り入れようとしない。時代に取り残されないよう説得を試みる主人…

クロノヒョウ様の自主企画参加作品となります。 https://kakuyomu.jp/user_events/822139839327374638 -------------…

都会の夜を走る車内。流れていく光の奥で、言えなかったひと言だけが遅れて胸に触れる。 過ぎていく景色と、変わらない気持ち。 そのほんのわずかな隙間に、物語は静かに差し込んでいく。

コンビニで買った缶を手に、春の夜の川沿いを歩く男。 ふと見上げた月の光が、遠い夜の記憶を呼び起こす。 あのとき隣にいた彼女へ伝えた「月が綺麗ですね」。

西暦2029年——企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど、情報化されていない近未来。 　その量子的パラレルワールドでの僕達の日常。

初秋の午後、母は失踪から十数年ぶりに息子と再会する。 言葉よりも沈黙が多い時間。 そして別れの瞬間、タクシーのヘッドライトが 彼の横顔を照らした——。

あなたは今、本当の顔で笑えていますか？ 仕事ではデキる人、家ではいい娘、友達には気の利く人……。いくつもの『仮面』を使い分けるうちに、心がすり減って空っぽになってしまった主人公・…

高位天使の子供だけが通う、天界の幼稚園。 純真無垢な少女は、ある日ひとりの少年に出会う。 彼の正体を知ったとき、天界の“新たな真実”が明らかになる―― 天使たちの光と影を描く…

「顔を洗って」「服を着替えて」 今日も“光の国”のママンソルジャーがドクラーヤに襲いかかる！ だらしないって悪いこと⁉︎ 互いの常識をぶつけ合い―― 魔女っ子バトル、いま開幕★ …

雨上がりの道に、置き去りにしたものがひとつ。 半年続いた関係の終わりに、わたしは最後の選択をした。 それは彼のためでも、わたしのためでもない。 ただ、もう抗わずに流れに身を任せ…

雲隠一族の忍び・巴の任務は、前川家のご子息・総二郎の護衛。 ただひたすらに、その命を守ること。 けれど―― 穴の向こうから覗いたその瞳に、恋をしてしまった。 病に侵された金色の…

誰かに届くことのない言葉。 呼ばれなかった名前。 それでも、どこかで確かに灯っている小さな光。 『灯の断片 − 光と呼ばれた沈黙 −』は、 都市の片隅や心の奥に沈む“名もなき瞬…