「円城塔賞 カクヨムネクスト賞」を含む小説

谷崎花奈（たにざき はな）は作詞をすることが好きな高校二年生。憧れの音楽家「スターチス」といつか楽曲制作をすることを夢見ながら、夏休み明けに誰もいない教室で歌詞を書いていると、教…

宇宙探査船、フォゼ・デム号。人類の楽観的な夢と果てしなく現実味の無い希望を優秀な人員と共に乗せて地球を飛び立った精密で頑丈な、短命の沈没船。 ある男の顛末だけが語られる。

教会の鐘が鳴る石畳の街。怪我を負った用心棒が、療養がてら骰子職人の工房で働き始める。仕事は骰子を振って出目を記録するだけ。静かな日々の中、職人は「完璧な骰子」について語る——偏り…

※この物語はフィクションです。過去に公開したショートストーリーを元に再構成しています。2025年カクヨムコンテスト11短編応募用。 あらすじ 主人公の矢本智夜（架空の少年）は小…

放課後の小さな公園で孤独にサッカー練習をしていた少年は、ベンチにいた黒ずくめの女性と出会う。スマホ越しに見えたサッカー動画をきっかけに、ぎこちなくも奇妙な交流が始まり、少年は初め…

小学５年生のしゅんは放課後、 友達とかくれ鬼をして遊んでいたが、ひとりだけ置いて みんな帰ってしまう。 置いていかれた子はなにかに憑りつかれてしまい……

ある日、俳優・宍戸陸の熱愛報道が発表された。 誰もが予期しなかったスクープにメディアや世間はざわついていた。 しかし、宍戸には熱愛の事実は無く、この報道は記者による憶測とでっちあ…

「ごめんね下井（しもい）君、待った？」 「い、いや、俺も今来たとこだよ」 　文化祭当日。 　ドキドキしながら自分の教室の前で竜田（たつた）さんを待っていると、メイド服に身を包ん…

『ねえ、私のこと好き？』 「好きに決まってるじゃないか」 僕は画面の向こうにいる僕の彼女に囁くように語りかける。 程なくして画面に選択肢が現れた。 彼女に渡す誕生日プレゼントを次…

噂によると、俺がずっと片想いしている律子は、先生である須藤のことが好きらしい。 だが俺は須藤なんかに律子を渡すつもりはない。 俺は絶対に須藤には負けねえ。

「ねえ筧（かけい）君、量子力学って知ってる？」 「え？」 　僕と榊（さかき）さん以外誰もいない、放課後の教室。 　日直だった僕たち二人は並んで黒板を拭いていたのだが、榊さんが唐…

私の名前は小牧梨乃。 貧乳で大して可愛くもない私だけど、超絶イケメンでバスケ部のレギュラーでもある樋口先輩に絶賛片想い中！ これが無謀な恋だってことは百も承知！ でもだから何だっ…

僕はゴリラのウホ夫。 最近の悩みは、隣の巣に住んでいるメスゴリラのウホ美さんが、僕の留守中に僕の巣に勝手に入ってくつろいでいることだ。 今日も巣に帰ると、案の定ウホ美さんは悪びれ…

男性向けのラブコメのヒロインは絶世の美女であることが多い。 これはある意味必然とも言える。 誰もが羨むような美女を彼女にしたいというのは男子共通の願いだろうから。 もちろん僕だっ…

平凡な高校生男子の秋星（あきぼし）は、隣の席の美少女、峰塚（みねづか）に片想いをしていた。 自分なりに日々アプローチをかけるものの、峰塚の態度は未だに素っ気ないまま。 だが、峰塚…

「掘り続けろ。お前にできるのは、それだけだ。」 記憶を失った男は、狭い穴の底で目を覚ました。 前も後ろも土。頭上には十メートル先の歪な空。 空からは、無機質な声と、番号のつ…