骰子職人と、その骰子を振る仕事を請けた男の話。設定はファンタジーだけど、書かれているのは「完璧を追い求めた人間がどこに辿り着くか」という普遍的な問い。職人が静かに壊れていく過程と、それを隣で見ている主人公の距離感が絶妙で、近すぎず遠すぎず、口を出さないことが誠実さになっている。短い文が積み重なって、最後に手のひらの上で全部がひっくり返る。読後、しばらく自分の手のひらを見てしまった。
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ケガをして療養中の男が、一時的にサイコロ職人の家に仕事を得ます。職人は子どもたちに穏やかな目線を向け、自分の仕事に向上心と追及心のある人間でした。しかし自分の仕事が誰かの人生に関わるのを目撃して、衝撃を受けます。療養中の男と職人の関係は淡々としており、職人の衝撃を受けた様とその後も淡々と語られます。その距離感が、完璧なサイコロがある世界と、ない世界の断絶を際立たせており背筋が冷える感覚と虚しさをいっそう重くしています。
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