ラブコメはご飯のようなもの。焼き肉定食でも、さばの味噌煮定食でも、おかずが違っても定食メニューにはご飯が必ずついてくるように、ファンタジーやSFでもどんなジャンルでもラブコメはつけられる。それ故にラブコメは単品では難しいジャンルだ。ご飯をおかずにご飯を食べさせるようなものだからだ。だがラブコメという主食抜きでは物足りない。ラブコメって本当に必要なの? そうした長年の疑問を投げかけてみたのが、今回の青春ラブコメ特集です。みなさんはラブコメ賛成派? それとも否定派? 是非読んでいただいてラブコメに思うところを聞いてみたい。
彼女のいない男子高校生・西脇馨。いないなら作ればいいと、アンドロイドの「彼女」を作る部活を立ち上げる。ところが入部希望者は何故か可愛い女子生徒ばかりで、魅力的なヒロインたちとの「彼女」制作にかける人間模様がまさに青春ラブコメで甘酸っぱい。
美少女好きな造形マニアの綾駒唯、飛び級入学の天才少女の千木良里緒奈、機械いじりが好きな柏原つみき、さらにアイドル顔負けの美少女・朝比奈花圃がモデルに名乗り出て、これ以上ないドリームチームが結成される。
制作費を稼ぐために動画投稿をしてみたり、理想の「彼女」に相応しいおっぱいの大きさを議論したり、学生らしく試験期間中は誰かの家で勉強会をしてみたり、夏休みは合宿にでかけたりと、なんだか「彼女」を作る前に彼女ができそうな和気藹々とした空気が癒やされる。
そうして完成した「彼女」は、高性能なAIを持って誕生したために人間に近い人格を備えていて生まれたばかりで常識のない「彼女」が、さらに波乱を巻き起こす。
理想の「彼女」よりも大切すべき存在はもっと身近にいるのかもしれない。
(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)
非モテの代表である男子高校生・日ノ陰縁と、学園一の美少女だがモテすぎるあまりに恋愛嫌いになった恋中いろは、正反対の二人が結託して学園に蔓延する恋愛賛美の風潮をぶち壊すアンチ恋愛学園ラブコメ。
「童帝」というPNで恋愛批判を訴える主人公・日ノ陰縁は、アンチ恋愛を掲げる思想家だが、ヒロインの恋中いろははアンチ恋愛テロリストともいうべき強硬派で、その過激ぶりに苦笑い。
恋愛賛成派であっても、恋愛に夢中になって周りの迷惑を顧みないバカップルは、眉を顰める存在だろう。そんな自分勝手なリア充に立ち向かわんとするのが痛快なのだ。
自分たちの支持を集めるため、生徒の恋愛相談に応じるのだが、経験豊富にみえて恋愛経験ゼロな恋中のポンコツなアドバイスを、非モテな日ノ陰がフォローしていく姿が愉快だ。
共犯者として結託しながら、異性として魅力的すぎる恋中に恋をしないように必死に自制する日ノ陰の葛藤がニヤリとさせる。
恋愛の素晴らしさだけでなく、嫉妬や執着といった愛憎の醜さも描き出した作品だ。
(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)
美少女ゲームは萌えキャラクターよりも、感動させるストーリーを重視する少年・神山ケイトが、最新のVR技術を使った美少女ゲームの攻略に挑む。
しかし、その美少女ゲームが、とんでもない神&クソゲー!
甘えん坊な妹キャラに健気で一途な幼馴染キャラ、お淑やかなメイド美少女、ぶりっ子な後輩キャラなどなど、さまざまな性癖のユーザを対象にしたヒロインを備え、ラブコメの王道やお約束を踏襲したストーリーで、ある意味で神ゲーなのだが、ありとあらゆるご都合主義の連続で胸焼けしそうになる。
特定ルートに入らないよう、すべてのヒロインの好感度を下げたいのに、どんなに嫌われる行動を選んでも好感度が上がってしまうお節介仕様が攻略を難しくする。
鬼畜クールぶっているケイトだが、ゲーム内のキャラクターといえど可愛い女の子を相手に非情になりきれず、手心を加えてしまう隠れたお人好しぶりが微笑ましい。
なんとか苦労して一人のフラグを折っても、次々と新たなヒロインが登場してきて、まさに無間地獄。
これ一作で、ラブコメはお腹いっぱいです。もう美少女だけは勘弁してください……。
(青春ラブコメ賛成派VS否定派/文=愛咲優詩)