この短編を読んだのは偶然ですが、今日読んだのは偶然ではない気がします。単なる感傷に過ぎないとは分かっているのですが……。あの日も葛藤を抱えながら、記録を撮った人はいたでしょう。皆が再会出来たなら良いのですが……。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(201文字)
報道写真のコンテスト。条件は、真実を撮ること、そして被写体の尊厳を守ること。人の目を引くような構図の写真には作為があったり、心を打つ写真には裏があったり、これも面白い。そして最後に出て来る意外性の写真。そこにはドラマがあります。意外な展開で思わぬ感動が。本当によく出来た物語です。こういう小説を書ける筆力が私も欲しい!
尊厳を守りながら真実を記録する。それがどのような意味を持ち、どのように行われるべきかということを考えさせるリアリティのある作品です。賞の品評を通して、何をもって上記二つを共存させるかの問いかけと容赦の無い回答がなされていて、全体的に張り詰めた空気の描写が鮮明です。これは同時に、文字で表現する我々にも応用できる問いかけでもある。写真に宿る欺瞞や生々しい感情に、すっと背筋が正される社会派な作品だと思いました。
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