ショートカット

 中学3年生の時。

 剣道部がいつも使用するコートを女バスに渡して、筋トレ・ランニングとした。


 学校の周りは1周あたり700m程で、それを3周する。


 2周目を走っている途中、付き合っていた後輩のえり子に話かけた。


「えり子、ちょっとこっち来てみ」

「――ハァ……ハァ……せん、ぱい……どう、しました……?」

「ついてくるんだ」


 隠れられる場所を見つけたのでそこに2人で入った。


「3周目を走ってくる連中が来たら、一緒に出ていってゴールするぞ」

「えぇー……そんなことしてもいいんですか?」

「副部長命令だ」

「……わかりました」


 3周目を回ってきたタクミという剣道部員。通ったのを確認して、私とえり子は何食わぬ顔で2周目の続きを始めた。


「俺が先にゴールするから、ちょっと遅れてえり子はゴールするんだ」


 そう言って2周で走ることをやめた。


「ああー……疲れました……」

「玄君が2番手なんて珍しいわね」


 山鹿やまが先生がそう言った。続いてえり子もゴールした。


「幸田さん、3番! 記録更新ですね!」

「……ええ、良かったです……」


 よしよし、バレなかったぞ。良いことしたなぁ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る