ショートショート
玄 律暁(げんりつあき)
名前を聞かれる
中学3年生の時。
剣道部の練習試合に親関中学校に行った。
私は大将として出場して、自分より一回り大きい相手に2本勝ちを収めた。その後、数人の陸上部らしき男たちから声をかけられた。
「名前、なんていうんですか?」
「……
――2年後。2度目の高校1年生をやっていた頃。
知らない女の子に突然話しかけられた。
「玄さん! 少しいいですか?」
「えっ? どうしたの?」
「親関中学校に剣道部で練習試合に来ていましたよね」
「ああ、何度か行ったね」
「名前、聞かれた時ありませんでしたか?」
「あったあった。陸上部っぽい人に聞かれた」
「それわたしです!」
「えっ? ……君、女の子だよね」
「もちろん……『名前を聞いてきて』って頼んだのがわたしなんです」
「ああ、なるほど! そうだったんだ。光栄だなぁ……しかしなんでまた?」
「……気になったので」
「……そうなんだ」
微妙な間があった。おそらく気があるんだなと嬉しくはなったけれども、付き合っている彼女がいる手前、何とも言えなかった。
私は酷いことをした。
その女の子に別の男を紹介したのだ。
あの時は申し訳なかったと謝りたい。
終
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます