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○ 剣道部顧問に催眠術

 当時の剣道部の顧問は25歳の若い女性で家庭科教師だった。今現在(2026年)の私の年齢からすると、可愛らしい女の子と言っても良い。自ら「催眠術かけてみろやオラァ」っていう姿勢は素晴らしいと思う。


 先生が部室に駆けつけてきてすぐに、その催眠術をかけてみるということになった。彼女は「催眠術なんてかかるわけがない、みんなでわたしを騙そうとしてるのね」と言っていた。が、しかし。


いや、案の定と書いてもよさそうだ。


「えっ?……ええーっ……! 曲がらないんだけどー! ええ、きもちわるいー!! 目、開かないよー! ねぇ、解いて解いて! こわい、こわいこわいー!!!」


 目の前で次々と起こっている非日常的な出来事に、全部員は混乱し恐慌状態に陥った。パニック。先生はこわいこわいと叫ぶが、その光景を見ている私たちのほうも怖い。当時、私は全く怖いものがないっていうおかしな状態だったのだけど、この状況・この光景についてだけは怖かった。


 まさしくこれはドン引きってやつだ。まだドン引きという言葉が世の中に現れていない、西暦2000年のこと。

 真面目な先生が催眠術にかかったふりをするはずがない。マジか……。


6. 解き方は術師が「5、4、3……と数えて指を鳴らします。そしたら目を開けて腕も元通りになります」と言ってそれを行う


 これをやると誰もが解けた。


○ 催眠術をかけてくれと依頼

「……なぁキヨ、何か特別な方法でやってるの?」

「い、いやいや……テレビでやっていたとおりにやってるだけ」


 信じられん。


「だったらさ、オレにそれやってみて」と頼んだ。


 お決まりのフレーズを言われ、腕を曲げてみると普通に曲がってしまった。


「えっ……ウソ、なんでオレ、曲がるの? 目も普通に開いたんだけど……マジで? なんにもないよ?」


「いやいや……逆になんで玄は曲がるんだよ! それこそ何か特別な方法で回避してるんじゃない!?」

「してないよ、そんなの知らん!」


 私は何度もキヨにお願いして催眠術をかけてもらったが、全くかからなかった。


「……どうしてオレは腕が曲がるんだ? ……えぇー? ……ねえ、先生は本当に本当に腕、曲がらなかったの?」

「本当に本当に本当だよ! これは危ないから今後、剣道部では催眠術をかけることを禁止します!」

「ええ、そうですね。悪用する人もいるかもしれないし……しかし、オレだけかからないってどういうこと……かかってみたい、本当に」

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