催眠術禁止令
玄 律暁(げんりつあき)
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★ === 催眠術禁止令===
催眠術は眉唾なものではない。また、魔法のようなものでもない。催眠術をかけるほう、かけられるほう、互いの関係によっていとも簡単にかかる。プラシーボ効果と共通点が多い。
心理的な影響力や、かかる条件についてはほとんど共通していると考えてよいが、プラシーボ効果は物質(主に薬剤)に対する期待などによって発揮されるのに対して、催眠術は言葉や動作によって心理的影響をもたらす。
おそらく体験したことがあるはずなのだ。日常的に催眠状態を体験している。何故なら本当に簡単にかかるものだからだ。
ひとつ、私、というか私たち剣道部の目の前で起きた件について書いてみる。
○ 催眠術をかけ始めたキヨ
剣道部の部室で部員のキヨが「昨日テレビで観たんだけど……」ということでもって試しにタクミに催眠術をかけてみることになった。具体的な手順を以下に示す。
1. 相手の目を閉じさせる
2. 腕をまっすぐに伸ばす
3. 腕をさすり、この腕はシュッとした鉄の棒だと思ってくださいと話しかける
4. 真っ直ぐで硬く曲がらないものですと強く伝える
5. 三秒数えますので、その後に腕を曲げようとしてみてください、目は開きません
さて、タクミは見事にキヨによる催眠術にかかった。
しかしその時は、この二人が互いに示し合わせた芝居だろうと最初は考えていた。
「わっ! ……わぁぁっ!! ちょ……ちょっと、マジかマジかマジか! 腕が曲がらないっていうか動かないんだけど!! 目も開かないよ!!」
笑ったね。
キヨとタクミによる自作自演の芝居であっても笑ったのは、あまりにもタクミの演技がリアルだったからだ。しかしどうも、あまりにもリアルすぎて、おかしい気がした。タクミのリアクションは本物だ。演技ではない。それは見ればわかる。ここまでのリアクションをとるヤツではない。でもそんなことあり得ない。
「じゃあさ、ケイスケにその催眠術かけてみてよ」と私はキヨに言った。
――ケイスケも同様に催眠術にかかった。
ケイスケはこういった笑いとは程遠い性格だった。自作自演でこんなことはしない。これは本当に催眠術にかかっている。
キヨは調子に乗って他の部員に次々と催眠をかけ、その後、かけられた人の悲鳴が飛び交うという異様な状況に陥った。
そして、剣道部の顧問の先生が騒ぎを聞いて駆けつけてきた。
私は皆が催眠術にかかってすごいことなってると説明した。その結果、どういう訳か先生に催眠術をかけてみるということになった。
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