某ホラーに影響を受けた私とたまたま解明を頼まれた謎
大学生活も終わる年。無理やり決めた将来設計にとりあえず適応できる奇跡に感謝ではなく不安を覚える。
雰囲気だけ楽しんだらあとはお湯でいい。別に甘いものが苦手なわけではないからカフェにも一応行くけど。
極秘で送られた友の遺品整理を休み中に行っていた。処理しきれなかった物や友が捨てられなかった物はさすがに送られなかった。でもどうでもいい遺品を寄越す人ではない。
「突然死なんて本当にあるんだ。現実ではご都合主義な神さまなんていないはずなのに」
嫌味ではない。友が他の人とはどう接していたか知らないがアザミに対してネガティブな話題やポジティブな話題をふるようなキャラではなかったから実感がわかなかっただけだ。
違法な探索をして、手に入ったらしい謎。
“プラダファイル”と名付けられたそれは専門の知識を持たないアザミにとって本来なら必要のない物だ。
『ここで他の誰かに頼んでプラダファイルを解明しても、彼が悪い意味で想定範囲だった選択肢を私が選んだだけになる。私ではどうしようもないけどこのまま人生が続くだけなら』
生前の彼も真剣に謎の解明をしていた痕跡はなかった。無味無臭の生活を送る私のちょっとした楽しみを彼から受け継いだ。それならいっそやってみるか。
せまい交友関係、バイトの掛け持ちと学業、そこで数少ない娯楽が増えた。もちろんプラダファイルについては誰にも言わない。仮に誰かと話す時にはどうでもいい趣味の一部を「探偵のバイトを二週間だけやっていて」と嘘とも真実ともかけ離れた説明でやり過ごすだけ。
彼が遺したヒントは誰にも言えない情報ばかりで、都会で暮らす体力のないアザミにはあまりにも膨大な数の場所にプラダファイルの謎はある。
「某ドキュメンタリーはこんなの世界中をめぐってしらみ潰しで探していたのか。頭下がるー」
ただし幸運なことに、彼は生前までに3分の2を確認してくれていた。彼の癖なのか赤いマーカーでレ点が打たれ、今のアザミには分からない説明が事細かく書かれている生々しさがプラダファイルに対する彼の執念を感じさせられるので生きていた人間の恐怖に押されそうになる。
「それで結局日本にあるんだ。プラダファイル」
夢がない。海外へ行く予定も携帯と紙の手帳を用意して記録したのに。でも彼の用意周到さに感謝しつつプラダファイルが隠されている地方へとアザミは向かった。
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