プラダファイルESCAPE[1]

釣ール(短編と詩やエッセイ用)

プロローグ

 2026年の年明けは重い体と暗いメンタルが無理やり朝だと身体を起こす。


 一通りの物の処分はすんだ。若くして終活をしているからではなく、シンプルに要るものと要らないものの区別が出来なくなる前に減らしたい荷物があっただけだ。


 二十代前半。コロナ禍で制限された若い頃の青春は誰に話しても共感してくれる人が大人にはいなかった。職や肩書きは立派でも歳だけ食った偏見野郎は減らないと思い知った。だからといってその人たちを老害だなんて言わない。


 でも教育や趣味だけじゃ人は成長しないんだと個人や集団でさんざん幸せをわざわざ投稿していた金持ちを見て誰もが線引きする時代で、綺麗事は綺麗事で全て嘘なんだと広告を見て実感する。


 長くない寿命がせまり、それでも健康に気をつけているからか水を飲んで目を覚ます。

 結局よく分からない資料を手に入れて、“プラダファイル”なんて名前がついた謎をアザミに押し付ける形になるのか。


『もう死ぬのか』


 携帯でアザミに引き継ぎを頼むメッセージを送り、つたない思想と自分なりに経験した一般論が交錯する毎日に別れを告げる。


 突然死に感謝を込めて。

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