第87話 おねの毒。秀頼を「卑劣で狡猾な男」に育てられますか?
豊臣秀吉の葬儀もおわり、落ちついた頃。
大阪城 西之丸で茶々は北政所·おねと対峙してました。
「では、どうあっても、大阪城から退去なさると」
「ええ…」
「どうしてですか。殿下の作ったこの平和を共に守っていってはくれませぬのか」
「私はこの西の丸を徳川家康殿に譲ろうと思います。豊臣家の家老として政務をとってもらいます」
「殿下もこの国に新しい秩序を打ち立てられるのは徳川家康殿だとおっしゃってました。天下を徳川家康殿に委ねるわけにはいかないのですか」
「秀頼公を万福丸殿に預けたそうですね」
「はい。あの子をもう余計な政争に巻き込みたくないのです」
「あなたがどんなに天下を徳川家康殿に譲りたくとも、秀頼公を巻き込みたくないと願おうとも秀頼公を担ぐ者は必ず出てきます」
「………」
「あなたができることは、豊臣家の行政を徳川家康殿に任せている間に秀頼公を徳川家康殿以上の器量人に育て上げることです。それしか秀頼公が助かる道はありません」
「!?秀頼をですが?無理です。徳川家康殿は殿下も認め、もっとも恐れていたお方」
「できる…できないのではないのです。やるのです。それとも私に秀頼公を預けますか」
「おね様にですか」
「ええ…私なら秀頼公を卑劣で狡猾な男に育て上げられます。そうすれば秀頼公は助かるでしょう」
「狡猾な男に…」
「できないでしょう。だから貴女は素晴らしいのです」
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