第23話 世界の真実 〜鑑定が見せた未来〜

 俺の意識が、結界の中へと飲み込まれていった。


「これは……」


 俺は真っ白な空間に立っていた。


 そこに、声が響く。


『ようこそ、【鑑定】の継承者よ』


「誰だ」


『私は、この世界を創りし者の一人。そして、【鑑定】の本当の力を知る者』


 白い空間に、老人の姿が浮かび上がった。


『【鑑定】は、ただ物を見るスキルではない。それは——世界の真実を見る力だ』


「世界の、真実……」


『この世界は、かつて一度滅びた。5000年前、災厄のベヒモスによって』


 俺の脳裏に、映像が流れ込んでくる。


 燃える大地。逃げ惑う人々。そして——


『私たちは世界を救うため、ベヒモスを封印した。だが、完全に消滅させることはできなかった』


「だから、1年後に封印が解けるのか」


『そうだ。そして——』


 老人が俺を見つめる。


『【鑑定】の真の力を持つ者だけが、ベヒモスを完全に消滅させることができる』


「俺に、その力があると?」


『ある。だが、それを使うには——』


 老人が俺の胸に手を当てた。


『お前の命と引き換えになる』


 俺は息を呑んだ。


「……それでも、やるしかないんだな」


『いや』


 老人が微笑んだ。


『別の方法がある。お前が仲間を信じるなら』


「仲間……?」


『【鑑定】は一人で使うものではない。信頼する者たちと力を合わせれば、命を失わずに済む』


 俺の脳裏に、仲間たちの顔が浮かんだ。


 ミラ。リーナ。レオン。フィーネ。シャルロット。


「俺は……一人じゃない」


『そうだ。それが【鑑定】の真の力。人と人を繋ぎ、心を見通す力だ』


 老人の姿が薄れていく。


『さあ、戻れ。お前を待つ者たちのもとへ』


 俺の意識が浮上していく。


 目を開けると、仲間たちが心配そうに俺を見ていた。


「田中さん!」


「タナカ!」


「良かった、目が覚めた……!」


 俺は微笑んだ。


「みんな、聞いてくれ。ベヒモスを倒す方法が分かった」


『えええ!?』

『田中さんが目覚めた!!』

『視聴者500万人突破!!』

『伝説の配信、始まる——』


「1年後、ベヒモスが復活する。その時——俺たちで奴を倒す」


 仲間たちが顔を見合わせた。そして——


「「「当然だ!」」」


 俺は仲間たちの顔を見た。


 この世界に来て、本当に良かった。


 過労死した前世では得られなかったもの。


 それが今、俺の隣にある。

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