第17話 リーナの危機 〜救援と再会〜

「はあっ、はあっ……!」


 シャドウの魔物軍団を退けた俺は、肩で息をしていた。


「す、すごい……タナカさん……」


 ミラが震える声で言う。俺の周りには、倒れた魔物の残骸が散らばっていた。


「シャドウは逃げたか……」


 奴は部下の魔物が全滅した瞬間、闇の中へ消えていった。


『田中さん無事!?』

『配信復活した!!』

『やばすぎる戦闘だった』

『あの数を一人で……』


「みんな、心配かけたな。電波が不安定だったみたいだ」


 俺は配信カメラを確認する。視聴者数は8万人を超えていた。


「さて、出口を探さないと——」


 その時だった。俺の脳裏に、ある映像が流れ込んできた。


「……っ!」


 これは——【鑑定】の新しい力?


 映像の中には、見覚えのある赤髪の女性がいた。


「リーナ……!?」


 彼女は同じ黒曜の塔の中にいた。だが、様子がおかしい。彼女は複数の冒険者に囲まれ、追い詰められていた。


「やめて!私は何もしてない!」


「うるせえ!お前のせいでパーティの評判がガタ落ちだ!」


「田中を追放した元パーティメンバーだってバレてから、俺たちまで白い目で見られてんだよ!」


 俺は全てを理解した。【鑑定】で俺の強さが世間に知れ渡った結果、リーナたちは「無能を追放したパーティ」として炎上していたのだ。


「ミラ、行くぞ」


「え、どこに——」


「元パーティメンバーが危ない」


 ミラは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。


「うん、行こう!」


 俺は【鑑定】で最短ルートを割り出し、走り出した。


『リーナって追放した人だよね?』

『助けに行くの?』

『優しすぎない?』

『これが田中さんだよ……』


 5分後、俺たちは現場に到着した。


「リーナ!」


「た、田中……!?」


 リーナは傷だらけだった。周りの冒険者たちが剣を抜いている。


「お前がタナカか。俺たちに構うな。こいつは俺たちのギルドの恥だ」


「恥?」俺は静かに言った。「彼女を追放したのは俺じゃない。俺は自分の意志でパーティを離れた。彼女に罪はない」


「嘘つけ!配信で言ってたじゃねえか!追放されたって!」


「確かに形式上は追放だった。だが、彼女は上の命令に従っただけだ」


 俺はリーナを庇うように立った。


『田中さん……』

『かっけえ……』

『これがヒーローだよ……』


「彼女に手を出すなら、俺が相手だ」


 俺の言葉に、冒険者たちは顔を見合わせた。王都配信ランキング2位の実力者相手では分が悪い。彼らは舌打ちしながら去っていった。


「どうして……私を助けてくれたの……」


 リーナが涙声で聞く。


「俺はお前のことを恨んでない。むしろ、追放されたおかげで今の俺がある。感謝してるくらいだ」


「田中……!」


 リーナは膝から崩れ落ち、泣き始めた。

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