第14話 王都ダンジョン攻略開始 〜黒曜の塔へ〜

 翌日、俺たちは王都ダンジョン「黒曜の塔」の入り口に立っていた。


「いよいよですね、タナカさん」


 ミラが緊張した面持ちで言う。


「ああ。一週間でできるだけ上の階層まで行く。レオンとの約束の場所、10階層を目指すぞ」


「はい!」


「頑張りましょう、セイイチさん」


 リーナも気合が入っている。


 俺は配信の魔道具を起動した。


「よし、配信開始だ」


『配信を開始しました。現在の視聴者数:3,521』


 開始直後からこの人数。

 昨日のレオン戦の影響で、注目度が上がっているようだ。


『タナカさんの王都ダンジョン攻略きた!』

『レオン様との決戦まであと一週間!』

『応援してます!』


「ありがとう。じゃあ、行ってくる」


 俺たちは黒曜の塔に足を踏み入れた。


 ◇◇◇


 内部は、外観通り黒い石で構成されていた。

 薄暗い通路が続き、松明の明かりがちらちらと揺れている。


「1階層は、スケルトンとゾンビが出ます。アンデッド系ですね」


 リーナが説明してくれる。

 さすが元冒険者パーティの回復役、ダンジョンの知識は豊富だ。


「アンデッドなら、光属性が有効だな。リーナ、回復魔法の準備を」


「はい、いつでも使えます」


 通路を進むと、前方に人影が見えた。

 骨だけの体、空虚な眼窩。スケルトンだ。


「【鑑定】」


【スケルトンソルジャー】

弱点:頭蓋骨内部の魔力核、胸骨の結合部

攻撃パターン:剣撃(予備動作0.3秒)、突進(予備動作0.5秒)

特記事項:光属性で即死。物理攻撃は魔力核を破壊しないと再生する


「弱点は頭の中の魔力核か、胸骨の結合部。光属性なら一撃だ」


「了解です!『ホーリーライト』!」


 リーナの手から光の弾が放たれる。

 スケルトンに命中し、一瞬で塵と化した。


『リーナさんの光魔法、綺麗……』

『アンデッドに光属性は鉄板だよな』

『サクサク進んでいく』


 1階層は順調にクリアした。

 2階層、3階層も同様に突破。


「4階層からは、敵が強くなりますよ」


 リーナの言葉通り、4階層に入ると空気が変わった。


「タナカさん、前方に大きな影が……」


 ミラが指さす先に、巨大な敵がいた。

 体長3メートルはある、腐敗した巨人。デッドタイタンだ。


「【鑑定】」


【デッドタイタン】

弱点:後頭部の魔力核(通常の位置と異なる)

攻撃パターン:腕振り回し(範囲攻撃、予備動作1秒)、踏みつけ(予備動作0.8秒)、瘴気放出(詠唱3秒)

特記事項:光属性耐性あり。物理で魔力核を破壊する必要がある

注意:瘴気を吸うと毒状態になる


「こいつは光属性が効かない。物理で後頭部の魔力核を狙う」


「私が囮になります!」


 ミラが前に出る。


「『ウィンドカッター』!」


 風の刃がデッドタイタンに当たるが、大したダメージはない。

 だが、注意を引くには十分だ。


「グオオオ!」


 デッドタイタンがミラに向かって腕を振り上げる。

 予備動作1秒。その間に俺は背後に回り込んだ。


「後頭部、もらった」


 跳躍し、剣を突き立てる。

 正確に魔力核を貫いた。


 デッドタイタンが崩れ落ちる。


『連携完璧!』

『タナカさんの鑑定、やっぱりチートだわ』

『ミラちゃんナイス囮!』


「ナイスだ、ミラ」


「えへへ、ありがとうございます!」


 ミラが嬉しそうに笑う。


 ◇◇◇


 5階層に到達した時、予想外の出来事が起きた。


「あら、あなたたちも5階層まで来たの?」


 聞き覚えのある声。

 振り返ると、そこにはアリアがいた。


「アリアか。奇遇だな」


「奇遇じゃないわよ。あんたの配信見て追いかけてきたの」


「……なんでだ」


「面白そうだったから。ねえ、一緒に攻略しない?」


 突然の申し出に、ミラが割って入る。


「タナカさんは私たちとパーティを組んでいるので……」


「別にいいじゃない。人数多い方が安全でしょ?」


「でも……」


 二人の間に火花が散る。


「……まあ、5階層のボスまでは一緒に行くか。それ以降は別行動で」


「オッケー! よろしくね、タナカ」


 アリアがウインクする。

 ミラがむすっとした顔をしていた。


『アリアさん参戦!』

『タナカハーレム拡大中www』

『ミラちゃん嫉妬してるw』


 コメント欄が盛り上がっている。


「さて、5階層のボスに向かおう」


 俺たちは4人パーティで、ボス部屋を目指した。


 王都ダンジョン攻略。

 まだ始まったばかりだが、順調な滑り出しだった。

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