第3話: 神の右眼⁉︎


瓦礫の下を、ザコは駆ける。


血の匂い。焦げた鉄。煙。

生き残る理由なんてない。ただ、死にたくない。


「……くそっ」


その瞬間。


矢が飛ぶ。


避けた――


いや、違う。


“視界が勝手にずれた”。


世界が、わずかに傾いた。


「……今の、俺か?」


右眼が熱い。


鼓動とは別の、何かの拍動。


ザコは思わず右眼を押さえる。


そのとき――





— 白い空間。


声はない。

だが、言葉だけが降りる。


「救済は選別である」


「三割を切れば、七割は生きる」


冷たい理屈。


だが、それに抗う影がひとつ。


「時間をかければ、全て救える」


白銀の翼。

だが顔は見えない。


次の瞬間。


断罪の光。


翼が砕ける。


眼が裂かれる。


そして――落ちる。


「もし、私より愚かな存在が全体救済を望むとしたら私はその選択を守ろう…」



戦場に戻る。


ザコは膝をついていた。


「……なんだよ、今の」


敵兵が迫る。


剣が振り下ろされる。


だが、身体が勝手に動く。


半歩。


わずかな傾き。


刃は空を切る。


「……は?」


奇跡でもない。

偶然でもない。

寸前でかわした。


“最適解”。


それが頭の中に浮かぶ。


冷たい声が、微かに響く。


「まだ、死ぬな」


「誰だよ……」


返答はない。


ただ、右眼の奥で

何かが静かに目を覚ます。


遠く。


天界。


監査の視線。


「観測開始」


ザコは知らない。


自分の中に、

切り捨てられなかった“異端”が宿ったことを。


ザコはただ笑う。


「……あれ?これ、俺の才能か?」


右眼が、淡く脈打つ。


まだ光らない。


ただ、そこに在る。


汚れた戦場に、

堕ちた神の一部が根を張った瞬間だった。


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