第22話 珠音マニュアル

 今日は、珍しい客が来た。灰原だ。手には何やら書類の束を持って居る。


 それをテーブルにバンッ!と置くとソファに座り語り始める。


「怪異専門協会のマニュアルだ」


 珠音は属して無いが、そういう協会があるのは知って居た。


「で……その書類は何です?」 


「怪異退治のマニュアル……通称『珠音マニュアル』だ」


「珠音マニュアル?」


 その場の全員が「?」と言った顔だが、灰原は続ける。


「怪異は即祓え、依頼者の今後は切り捨てろ、責任の取れない怪異は断われが最優先事項と書かれて居る」


「全く私の意図を汲んで無いです」


「そうだ。お前は、もっと構造的に物を見る。だが、全員が出来る訳じゃねえ」


 全員が出来ないのであれば、出来る様に改竄すれば良いだけの事と言わんばかりの内容だった。


 これには珠音も呆れる。しかし……と灰原は続けた。


「このマニュアルを徹底した結果、怪異は減って居る……だが俺のやり方じゃない」


「確かに貴方のやり方では、ありません」


 これには珠音も即答で答えた。


「要するに、どうしろと?」 


「マニュアルを撤回させて欲しい……それが今回の依頼だ」


 珠音は解りましたとだけ言い、灰原は去った。


「厄介です」


「厄介とは?」


「こういう組織は最初から責任を取る気はありません」


「無責任と言う事ですか?」


「過程が結果なのです。責任の有無は別問題で終わらせます」


 どう撤回させようかと珠音は考えるが、一先ず今日は情報収集に努めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る