第12話 転校生
クラスに転校生が来た。
転校生という新しい存在に誰しも夢中に成り、群がる。
そんな中、珠音は静かにノートを取って居た。
転校生は模範的に振る舞った。
率先して手を挙げ、掃除も自分から、困って居る人が居たら助ける……全て善行だ。
しかし、珠音は関係ないとばかりに転校生の動向に反応しない。
風巻エリスが言う。
「珠音さん、転校生の事が気に成りませんの?」
珠音は短く答える。
「ええ」
自分の事を見ない珠音に八代はヤキモキする。
行動は次第にエスカレートし珠音の前で善行をする。珠音にやたらと話し掛ける等、とにかく珠音の関心を引きたい。
しかし珠音は一切反応しない。
別に無視してる訳でも無い。喋りかけられれば返事を返す。ただ八代が求めて居る反応では無い。
満足出来ない……
八代の中は珠音に認められたい気持ちへと自然に傾いた。
だが、他の子からは当然の様に認められて居るにも関わらずだ。
「自分を認め無い」と悟った時、事件が起こった。誰も見て居ない時に花瓶が割れたのだ。
八代は言う。
「珠音さんが割りました!」
クラスの大半は八代の事を信じた。
対する珠音は、ため息を一つつくと立ち上がり話し始める。
「確かに誰が落としたか証明出来ない以上、私が弁償しましょう」
教師も日常茶飯事な事かと思い笑って居るが珠音は八代の方へ向かうと語り掛ける。
「満たされましたか?」
「はい?」
「貴女は今回の件で私を陥れた気に成ってますが、普段は薄っぺらい善行、隠れた場所では私を排除する為に悪行を平気で行う……今の自分の本性に満たされたかと聞いて居るんです」
教室が静まり返り八代が息を呑む。
「それが貴女の本性です。だから、もう一度聞きます。満たされましたか?」
八代に汗が滲む……初めから珠音は自分を見て居たのだ。だから認め無い。その事実に気づいた時、八代は背筋に冷たい物が走った。
「私は始めから貴女を見て居た。しかし、貴女は見て居なかった……だから、満たされたかと聞いたのです。良いでしょう。花瓶の代償に貴女が失うのは演じてた自分です。今後、満たされる事は無い」
珠音の語り掛けに八代が泣き出した。
こうなると話が変わってくると教師も両方から事情を聴き八代が白状した。
その時、珠音はエリスと図書室に居た事実も明るみに成った。
八代の仮面が剥がれ落ちた瞬間だった。その後、八代は普通の生徒へと戻った。馴染んだのでは無い善行を行っても認めて貰えなく成ったからだ。
珠音だけは、ただ変わらずに居た。
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