第3話 祓い屋からの依頼
珠子が長期の仕事で出て居るので、代わりに珠音が怪異に限っては仕事を請け負って居る。事務所は静かだったが、舞い込む依頼の重さは変わらない。そんな剛力事務所に、同業の祓い屋から応援要請が届いた。山に現れた怪異が手に負えないという。
珠音はアリスを連れて現場へ向かう。山道には冷たい空気が溜まり、鳥の声すら遠い。待っていた祓い屋は、まずアリスを見て安堵の表情を浮かべたが、珠音が応援だと知ると驚きを隠せなかった。
「で……この怪異をどうしたのです」
「封印しようとしたさ。しかし、力が強くてね」
案内された先には、木々や岩に無数の符が貼られていた。紙は風に揺れながらも、異様な緊張を保っている。
「これは?」
「結界だ。近付かせない為のな」
封印の場所へ進むにつれ、祓い屋の足取りは目に見えて鈍くなる。額には汗が滲んでいた。
「怖いのですか?」
「そりゃ家族も居るしな……」
率直な言葉だった。珠音は淡々と問いを重ねる。
「この類の怪異は祀られ無くなったモノが引き起こしますよね?」
「あぁそうだ」
「封印するならば、誰かが管理しないといけませんが……どうするんです?」
「その辺は……」
祓い屋は視線を逸らし、曖昧に言葉を濁す。その瞬間、珠音は迷いなく封印を焼き払った。符が一斉に燃え、重い気配が解き放たれる。
「何をしている!?危険な怪異なんだぞ!」
祓い屋は後退りするが、珠音は一歩前に出る。荒れ狂う気配を正面から受け止め、炎で持って怪異を祓った。山に満ちていた圧力が、静かに霧散する。
ホッと息を吐く祓い屋に、珠音は視線だけを向ける。
「逃げる大人に責任は取れない」
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