第2話 風巻母からの招待状

 小学校三年生の珠音の級友風巻エリスが、こんな事を言い出した。


「今日はお母様がどうしても珠音さんに会いたいって」


「へえ、そうですか」


 珠音は無表情で答える。もうでは無いが行ってみる事にした。


 リムジンに乗り風巻邸に着くと風巻母が出迎えた。始めは、お茶などを飲んで他愛無い話をして居たが、風巻母が本題を切り出す。


「実は、貴女に奪われた人生の一部を返して欲しいの」


「そうですか……してゲームは?」


 以前、ギャンブルで珠音は風巻母の人生の一部を奪った。それを返せと言って居るのだ。珠音は、さも興味が無いと言った風に聞く。


「ゲームは簡単、互いに紙に次に自分が取る動作を書いて当てるだけよ」 


 ゲームはシンプル、すぐ終わりそうなので珠音は受けた。


 まず珠音が紙に書いて行動を開始する。次に風巻母が紙に書いて、いざ行動に移る。


 珠音は動かないが、ルールギリギリの範囲で指を動かした。風巻母は立ち上がった。


「さて、答え合わせです」


「貴女は『動かない』」


「貴女は『立つ』」


「でも、おかしいわね。貴女の指が少し動いた様に見えたけど?」 


 敢えて動かした。風巻母が人生の一部である『逃げる事を禁ずる』を守るかどうか……ルールギリギリの範囲でも風巻母は勝ちに来た。何故か違和感があるが、これ以上続ける意味は無いかと珠音が敗北宣言をした……


 その瞬間、風巻母は大きく笑った。


「クフフ……アハハハハハハ!勝った!勝ったわ!」


「良かったですね」


「これで再び貴女に挑めるわ!」 


 違和感の正体……前回、風巻母は負ける前提で勝負に挑んだ事実、その結果……珠音が再び自分と勝負する様に仕込んで居たのだ。


「イカれてる」


 珠音の率直な感想だ。エリスなど何が起こったか、まるで解って居ない。


「良かったですわね。お母様!」 


 等と一緒に喜んで居る。


「えぇ!今度は人生を賭けさせた貴女の方がんじゃなくて?」


「……」


 珠音の性格からしてそうだが「この母親懲りて無いな」と言う感情もある。


「今日は、これ以上の勝負はしませんよ」  


 大人は、こうやって自滅する……

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