祓い屋は人を救わない。

桜井悠人

珠音は揺るがない

第1話 珠音は揺るがない

祓い屋は、人を救わない。


正しさが人を壊す前に、現象を終わらせるだけだ。


「今回は後方待機ですか」


「えぇ、珠子たまこさんからは、そう伺ってます」


 そう答えるのは、風巻かぜまきアリスだ。一応、確認の為にアリスの部屋まで来たら、アリスが慣れた手付きで大体の物に効く弾丸を作って居た。叔母の名は剛力珠子ごうりきたまこと言う。


 その姪っ子である剛力珠音ごうりきたまねは不穏な気配を感じて居た。何時もなら脳筋ゴリ押しで事件を済ます叔母が帰って来ないのだ。


「緊急事態ですね」


「と申しますと?」


「恐らく何かトラブルがありました」


 そのトラブルも拳で解決するのが叔母だが緊急事態なら仕方が無い。助けに行かねば成らない。


「後方待機は解除です。私が指揮を執っても?」


 珠音はアリスに確認する。


「えぇ構いません」


 アリスはM―16で武装すると珠音を珠子の元に車で送り届ける。


「倉庫ですか」


「その様ですわ」


 珠音が倉庫のドアを開けると奥からヌルっとした何かが出て来た。


『待ち詫びたぞ』


「自分からに成った者ですか」


 珠音は淡々と事実のみを語る。


『あの女と同じ目に逢え』


「お断りします。アリスさん!」


「はい!」


 ダダダンッ!と銃撃音が鳴るが相手は平気そうだ。やはり本体に当てなければ駄目かと珠音は思った。


「一応、聞きますが本体の位置は?」


『そんな物、教える訳が……』


 その一言に珠音が辺り一面を業火で払う。剛力家は炎を操る家系、その中でも珠音は歴代当主を上回る実力を備えて居る。


『うわあ!』


「本体はソコですか」


 言うのが早いかアリスが本体の確保に走った。確保した本体は赤い糸が巻かれた人形だった。


「焼き切りますか!?」


「待って下さい、珠姉様の居所を吐かせないといけません」


 そう言うと珠音は人形を炙り始めた。


「対のは何処に埋めましたか?」


『誰が!グァァ!熱い!熱い!』


「もう一度だけ聞きます。は何処に埋めましたか?」


『〇〇神社の鳥居の下だ!止めてくれ!』


 嘘だったら焼き払うと本体を持って〇〇神社へと向かい鳥居の下を掘ると瓶が埋めてあったが既に大きなヒビが入り始めて居る。


「珠姉様はこの先の世界でしょう。助けに行って来ます」


「お気をつけて……」


 珠音が瓶を持ち、何やら呪文を唱えると異界への扉が開いた。迷わず進む珠音だが、中では珠子が、ひたすら怪異を祓って居た。


「キリが無いわね!」


「珠姉様」


「珠音ちゃん!?」


「助けに来ました」


「あぁ! マジ助かったわ! アイツ! 別次元に私を飛ばし……」


「説明は後です」と珠音が言うと出口へ向かい走る。追いかけて来る怪異共を無視して疾走すると、出口が見えて来た。


「さっさと出ますよ」


「はあ〜疲れた」


 珠子を助けると珠音は瓶と人形を焼き払い怪異を削除した。だが、倉庫にあった扉は二度と開かなかった。




──────────────────────

毎週、火曜、土曜、更新です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る