第1話の入り方が非常に上手いです。鏡の前の寝癖、小田急線の車窓、梅雨明けの湿った空気——ありふれた通勤の朝に、空が金属質の光を帯び、油膜のような円環状の虹が射し込む違和感がじわりと差し込まれます。個人の内耳をかすめる「音の気配」という繊細な感覚描写から、中南米の白昼の闇やアフリカの動物の一斉移動という地球規模の異変へと視点が広がっていく構成が鮮やかで、静かな不穏さに引き込まれました。人類を創った“神”という壮大な問いの幕開けにふさわしい第一歩です。
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