温石――カクヨムに登録して三か月経って思うこと

AKTY

温石――カクヨムに登録して三か月経って思うこと

 以前私は「カクヨムに登録して二週間経って思うこと」という文章を書いた。これはタイトルの通り、カクヨムを始めてから二週間経過時点での思いを綴ったものだ。簡単な感想文というつもりだったので、サッと書いてサッと出してそのまま放っておいた。


 ところが意外なことにというか、これに思いのほか多くの共感をいただいた。いまだにボチボチ読まれていて、星の数も私の書いたもののなかで二番目に多い。


 まったく手間のかかっていないこの文章が評価されるということに、最初少しだけ釈然としない気持ちもあったのだが、それでもこれを入り口に多くの方に私の存在を知ってもらえたことを、いまではとてもうれしく思っている。


 さて、それから少し時が過ぎて三か月が経った。いまはよくわからないままにカクヨムコンにも参加して、お祭りを楽しんでいる。特にお題フェスがお気に入りで、毎週のお題にノリノリで参加した。これは自分で書くのも面白いが、毎週ニョキニョキと読むのにちょうどいい短編が生えてくるのがいい。なんならずっと続けてほしいくらいだ。


 まあそんな具合にこの三ヶ月間、カクヨムライフをエンジョイしてきたわけだ。しかしそうなってみると新たに思うことも出てくる。そういうのをまた書いてみてもいいかなと。これはそういう文章だ。


 カクヨムで活動していると、なぜこんなにいいものがあまり読まれていないのかと思うことがよくある。星も応援も少なく、おそらくPVも微々たるものだろう。その作品を好きになればなるほどに、読まれていないという事実が重くなる。こんな調子でこの人は書き続けることができるだろうか?途中で筆を折ったりしないだろうか?読者としては切実な問題だ。


 "なぜ" と書いたが読まれない理由はもうわかっている。それは文章や内容、タイトルや見出しの問題ではない。ただ単純に "ヨム" をあまりしていないからだ。


 前の文章にカクヨムには「書くことと読むこと、その両輪を回し、活発に交流する人々」がいると書いた。あの時点にしてはなかなかいい点を突いている。この地はやはり、まず交流の場なのだ。"カク" だけでは足りず、"ヨム" も合わせて "カクヨム" である。


 そりゃそうだ。名もない誰かの書いた文章を誰が読んでくれるだろう。どんなに優れた文章も読まれなければ始まらない。


 こことは別のコミュニティで動画を作って一定数のファンを持っている人がいる。私もファンのひとりなのだが、その人がこのカクヨムにやってきた。引っ提げたるはオリジナルの小説である。動画で見せた才覚を存分に発揮し、アクは強いが読み応えのあるスゴい作品だ。やっぱ天才だ、続きはまだかと思った。思っている。だが読まれない。


 近頃その小説の更新が途絶えているのだ。もちろんそれにはさまざまな事情が考えられるわけだが、PVの少なさにやる気をなくしてしまったのだとしたら⋯⋯


 十分あり得る。読者からの反応なしに創作を続けることは苦しいに違いない。書くことをやめてしまったとしても不思議ではないのだ。私にインフルエンサーのような発信力があったらと残念に思うが、こればっかりはどうしようもない。


 そんな少し名のある人でもそうなのだ。もう一度書くが、名もない誰かの書いた文章を誰が読んでくれるだろう。


 だから "ヨム" のだ。ちょっと気になるタイトルでも、好きなジャンルでもなんでもいい。読みにいって応援でもコメントでも星でも、とにかく足跡を残しておく。あなたがやって欲しいことを、まず人にやってあげるんだ。そのうちのいくらかはきっとあなたの書いたものを読みにきてくれるだろう。そこで初めて中身の勝負ができる。


 また前に書いた文章の話だが、私はカクヨムで活動する多くの書き手を石に例えた。玉石混交の "石" だ。人の目に晒されることに臆さぬ、これから玉になろうとしている「強い石」と。


 いま私はさらに願う。その石は "温石おんじゃく" であって欲しいと。


 温石とは温めることで懐炉として使う石のことである。懐に入れて防寒に、または肉体の傷んだ箇所の治療に用いられた。


 我々は温石の如く、このカクヨムという場を温めようではないか。あなたがくれた熱で私が温まり、その私の熱をあなたに、また別のあなたにと渡していきたい。


 そんなのは馴れ合いだという人もいるかも知れない。まあたしかに、こんなやり方から偉大な大天才は生まれないかもしれないね。大天才は孤高な感じがするもんね。


 でもかつての文豪たちだって、別にずっとひとりで書いていたわけでもないのだ。 我が敬愛するパパ・ヘミングウェイも、若い頃はパリのカフェで活発に交流し、そこから多くの閃きを得た。このカクヨムを現代のラ・クロズリー・デ・リラと思ったっていいじゃないか。


 誰かの書いたものや、もらったコメントから着想を得ることもある。いま書いているこれがまさにそうだ。あるコメントへの返信を書きながら思いついた。


 みんなでさ、温石になって温め合おうよ。やってるうちに擦れていい感じの玉になるかもしれないし、擦れ合ってりゃすごい熱が生まれるかもしれないよ。


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