初仕事③

森の中を誰も口を開くことなく歩いて行く。


葉を踏み潰す音、風に揺らされ鳴らされる葉音、遠くで鳴く鳥の声…


しばらくすると縛られている男が口を開いた。


「さっきは危なかったな…」


歩きながらくるりとメアリーの方へ身体を向ける。


「ありがとな」


『どういうことだ?』


男は前方へ身体の向きを戻し歩きながら話し始める。

「自警団だよ。知らねえのか?」


『ぁあ、名前くらいは。保安官とは別に犯罪者を捕まえる集団としか』


「それだけじゃない。」


メアリーが足を止める。


そして重い口を開いた。


「ジェイク達の自警団は特殊だ。犯罪者に家族を殺された連中ばかりを集めて仲間に入れている」


『…それの何が悪いんだ?』


「犯罪者に対しての恨みが強いんだよ。あいつらは捕まえた犯罪者に『しけい』を下す」


『死刑?』


「私刑。自分たちが決めた刑。

だいたいは死なないギリギリのラインで長いこと痛めつけ、苦しみながら殺すんだ。

殺しに正当性があるかのように見せかけて」


メアリーは口をつぐむ。


男が続ける。


「たいてい賞金稼ぎは犯罪者をそのまま保安官に渡して賞金をもらうだろ?

でもあいつらは死体を渡して賞金をもらうんだ」


深い溜息をつき安堵の表情を浮かべた。


「ほんと、先にアンタ達に捕まって良かったよ」


メアリーは小さくつぶやいた。


「だからあいつらに犯罪者は渡せない。あいつらより先に確保しないと…

必要以上の痛みはいらない…」



それからしばらく沈黙が続きまた歩き始めた。


そして俺は気づいた。


ずっとドレス姿だったことを…

もう死にたいくらい恥ずかしくなった

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