初仕事②【トニー】

メアリーと話をしていると、メアリーの背後から男がぬっと現れた。


色が黒く、俺と同じ位の身長のガタイが大きい男。

「また保安官ごっこかよ」


「ジェイク!!」


メアリーの表情は、キッと険しくなりすぐさま男から距離をとった。


その男の背後から似たような背格好の男達が数人出てきた。

どいつもこいつも見下した顔で、ヘラヘラ笑いながら舐めるようにこちらを見てくる。


そのうちの一人が俺に近づいてきた。


「なんだぁ〜!?新しいお友達か〜?」


その中の一人が、酒の臭いをさせながら俺の胸元へ手を伸ばした。


「やめろ!」


メアリーが男と俺の間に腕を素早く伸ばし制止した。

メアリーの表情はさっきよりさらに険しくなっている。


男は舌打ちをし唾を吐きながら背を向けた。


ジェイクは縛られた男を軽く蹴りながら口を開いた。


「コイツ俺たちにくれないか?」


「ダメだ!」

男達を睨みながら即答するメアリー。


そして俺を振り返り、


「もう行こう、トニー。」


その表情には焦りと悲しみが溢れていた。

始めてみるメアリーの顔だ。


俺は黙って頷き、縛られていた男の元へ行った。


『立てるか?』


その男はさっきとは全く違い、恐怖で強張った顔をしながら数回頷いた。


男と俺は歩き出し、その後にメアリーが続く形でその場を去ろうと背を向けた。


その時ジェイクが素早くメアリーの腕を掴んだ。


「おいメアリー。たまには俺達と遊ぼうぜ」


メアリーは、下を向いたまま無言で腕を振り払った。

そして何事もなかったかのように歩き出した。


ジェイクの舌打ちは聞こえたが追ってくる気配はなかった。

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