終章
皇宮国東久迩県の田舎の島、コンスーション島に、今年も夏が来た。
住民は四百人程度、長閑な観光業が主な産業の島は、犯罪も少なく、汎用機神の数も少ない。
平和で穏やかな島に、二年前より、一組の警察官夫妻と、二機の神聖精霊機神が駐在するようになった。
カリアン侯爵家を継いだアリーと、伴侶であるスリファンである。
国家警察、東久迩県警察を無事に卒業したスリファンとアリーは、小隊の学友たちのように初任研修を受けることはなかった。
その制服より、勇者の着衣に身を包み、世界各地へ精霊の赴くままに姿を現した。
豪華絢爛な式典会場などではなく、荒廃した紛争地の真只中へと。
ピースメーカーとして顕現し、その権威と、武力を持って、戦さ場を、語りでもって、武力でもって、これを制した。
その活動に協力してくれる仲間も徐々に集い、やがて「国際紛争警察機構」なる機関が設立に至ると、二人はすべてを後任に譲り、この田舎に「妙に長い肩書」の警察官として赴任したのだ。
穏やかな時間が流れる島で、統廃合によって閉校となった学校を交番として。
沙羅曼蛇は再び穏やかになった世の中に安堵し、夫妻を見ては過去を懐かしむ。
迷子になって不安な子供を抱き上げたアリーと、その親を探して島を駆けずり回っているスリファンは、勇者の晩年を眺めているようで心地が良い。
『弱きを助け、強きを挫く』
理想に燃えた警吏であった勇者の末裔に、出会えたことを喜びながら。
古も今も想いを受け継ぐ 八坂卯野 (旧鈴ノ木 鈴ノ子) @suzunokisuzunoki
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