これから
東雲side
最初は、今まで俺をいじめてきたやつと同じだと思っていた。
実際、初めて話しかけてきたのは罰ゲームだったし。
でも、あの日――準備室で朝霧に謝られたとき。
あの瞬間から、何かが変わった気がした。
最初はまだ怖かった。
どうせまた裏切られるんだろうって思っていた。
でも、一緒に過ごすうちに、朝霧はそういうやつじゃないって思えるようになった。
たまに見せる、あいつの素の顔。
仮面がふっと外れる瞬間があって、それを見るたびに、「俺に気を許してくれてるのか」って思えて、嬉しかった。
たとえば、準備室で困った顔をして謝ったあの日――その小さな笑顔を見たときも、胸が温かくなった。
俺が何度も冷たくしたり、突き放しても、朝霧は笑って受け止めてくれた。
あいつがいたから、少しだけ、周りのことも、自分のことも、信じてみてもいいかもって思えた。
朝霧side
最初は、ただの罰ゲームだった。
でも、東雲と関わるうちに、罰ゲームのことなんかどうでもよくなった。
気づけば、自然と目で追っていた。
静かな場所が好きだとか、動物に優しいだとか、ご飯を美味しそうに食べるだとか。
でも、言いたいことはちゃんと言うやつだってことも知った。
そんな東雲のことを、もっと知りたくなった。
理由は自分でもわからなかった。
わからないまま、仮面をつけたまま、そばにいた。
一緒にいる時間が増えるほど、東雲の表情は豊かになっていった。
怒ったり、呆れたり、笑ったり。
その顔を見るのが、引き出せるのが、嬉しかった。
たとえば、準備室で初めて素直に笑ったあの日――胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
気づけば、東雲の前では無理に笑う必要がなくなっていた。
他の誰といるより、ずっと気が楽だった。
ただ隣にいるだけでいいって思えた。
だから思うんだ。
東雲とは、本当の友達になりたいって。
『きっとまだ答えなんてわからない。
それでも——
俺たちだけの“友達”の形を、いつか見つけられたらいい。』
すれ違いの先に 紅野 @st-line-02
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます