これから

季節は巡り、愛音は小学校に入学した。愛音は相変わらず音楽やピアノが大好きで、毎日のように家に音が響き渡る。

玲は少しずつだが活動を再開した。今でもたまに演奏中に手が動かなくなることがある。そうなると前はすぐに引きこもってしまっていたが、愛音と弾いているときは問題なく動くようで、毎日のように一緒に弾いていた。無理のないペースで自分の音と向き合っていきたい。そう私に言った彼の顔は覚悟を決めた顔だった。

ある日、いつものように玲と愛音はピアノを弾いていた。私はそれを後ろで眺めていた。すると愛音が


「おとね、パパのピアノとママのお歌が大好き。」

「突然どうした愛音。」

「へへっ、なんかね、急に言いたくなったの。パパたちはおとのピアノすき?」

「もちろん好きに決まってるよ。」

「ああ、愛音のピアノは世界一だ!」


そう言って私たち3人は目を合わせて笑い合う。

私たちの間にはいつだって音があった。玲と初めて出会ってから今まで、私たちを繋いでくれたのは音だった。音にはいろんな種類がある。暖かい音、冷たい音、楽しい音、辛い音。これからも沢山経験するだろう。しかし、どんな音でも全部大切な音だ。それらを大切にして頑張っていきたい。

 今までも、これからも。


 私たちは音で繋がっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おとで繋ぐ 紅野 @st-line-02

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ