第2話

 あの後、更に三体ほどの空繰カラクリを倒し、回収して帰還した。


「ただいま」


 アクアオーラは大きな洋館へと入って行く。

 ここは、魔法少女の住処すみかの一つだ。


「【変身・解除】」


 アクアオーラがそう唱えると、さまざまな装飾の付いたアンティーク調のドレスがシンプルな服装となっていく。

 こちらが普段着だ。変身を解除して元に戻ったというのが正しいだろう。


「スカイ、おかえり~!」


 そう言ってアクアオーラへと元気よく駆け寄ってきたのは、三つ編みにされた銀髪に緑色の瞳を持つ少女だった。

 アクアオーラの本名はスカイという。

 アクアオーラという名は魔法少女の時に名乗っているコードネームだ。

 そして、駆け寄ってきた銀髪の少女の名前は、スフェノス・シルヴァン。

 コードネームはクロムスフェーンだ。


「怪我してない? 大丈夫?」


 スフェノスはスカイを心配した目で見ている。

 スカイとしては少し疲労したぐらいだろうか。


「見ての通り、無事だよ」


「良かった~!」


 ホッと安堵するスフェノス。


「そんなに心配しなくていい。昔から戦いには慣れている」


「それでも仲間の心配ぐらいするよ! マギアもまだ帰ってきてないし……」


 マギア・レウリー。彼女も魔法少女だ。コードネームはアメトリン。

 スカイとスフェノスは十五歳で、マギアは十四歳。二人より一つ年下だ。しかし、年下ではあるが彼女は弱くないということをスカイは知っている。


「まあ、日が暮れるまでには帰ってくるだろう。私は部屋で報告書を作ってくる」


「うん……お疲れ様!」


 しかし、日が暮れてもマギアが帰ってくることはなかった。



◇◇◇



 夜。報告書を仕上げていれば、付喪が急に出てきた。


『救援信号を受け取ったよ。相手はマギアの付喪から』


「場所はわかる?」


『うん。案内するね』


「ああ、行こう」


 スカイは自分の部屋から出る。すると同時に、別の部屋からスフェノスが出てきた。


「スカイも救援信号を受け取った?」


「そうだ。急ごう」


「うん!」


 二人は変身して、洋館を出た。


『着いた! ここだよ』


「ここにマギアがいるの?」


 スフェノスがそう付喪に聞く。付喪が案内したのは、廃工場だった。


『うん、そうだよ』


「――待って、何か聞こえる」


 スカイは耳を澄ます。スカイが聞き取ったのは、バチバチとした雷の音だった。


「この雷の音――マギアの魔法だ」


「どこから聞こえた?」


「こっちだ」


 二人は廃工場内へ入って行く。


「この扉を――」


 スカイが扉を開けようと近づく。

 すると、扉が勢いよく開き、中から何かが飛び出してきて、スカイにぶつかった。


「ッ……誰だ?」


 飛び出してきたのは、スカイより年下の知らない女の子だった。


「女の子?」


「た、助けてッ! 金髪のお姉ちゃんが化け物と戦ってる! 私、捕まってて、それでッ――」


 その女の子はひどく慌てた様子だ。金髪のお姉ちゃんというのは、おそらくマギアのことだろう。


「わかった、私が何とかする。クロムスフェーン、女の子を安全な場所へ」


「一人で大丈夫?」


「問題ない」


「わかったわ。――行きましょう」


スフェノスは女の子を連れて、来た道を戻っていく。

スカイは気を引き締めた。


「よし、進もう」

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