結果と考察
「おつかれさまでーす」
翌日。
かつて縛り付けられたあの忌々しき講義室に戻ると、
「あら、
挨拶した彼女以外に人気を感じて、私は部屋を見渡す。ちょうど部屋の後ろから、男2人組が出ていくのが見えた。
出ていったのは、食堂で絡んできた2人だ。
私は硬直して動けなくなる。
「えっ」
困惑する私を見て、
「どうしたの?」
「いや、今出ていった人ら」
「知り合い?」
「こっちのセリフですよ。……先輩の知り合いですか?」
「うーん、まあ、雇い雇われの関係?」
「いや、あの人ら……」
「連絡先、交換できなかったでしょ?」
真剣な眼差しが私を捉える。結論として、私は
「まあ、頑張ってたと思うわ。でも、連絡先を交換する素振りは見せなかったから」
「そ、そんな簡単に聞けないですよ。先輩みたいにガサツじゃないですし」
「だからもっかい恐怖体験を与えた訳。彼らには報酬を払って、手を出さない範囲で2人を脅かすようにと」
ああ、どうりで逃げ切れた訳だ。彼らは仕込みだったから、本気で私らを傷つける気はなかった。彼らは、そしてそれに指示を出した
「じゃああれも全部仕込みですか……?
「ごめんなさい。それはやりすぎたと思ってる」
本気で申し訳無さそうな顔をしたので
先輩は呑気に「食堂前の蹴飛ばしたメニューはちょうど新調するタイミングで、今度彼らが看板ごと直すから許してね」と看板への謝罪を述べてから、話題をもとに戻す。
「でも、この仕込みのおかげで目的は達成できたでしょ? 連絡先を入手するっていう」
「それはそうですけど……」
私は1つ引っかかることがあった。
「あれは”
「ふぅん」
黙って
彼はかつて私たちの同じ世界にいた平凡な少年だったと
「……
まあ、たしかに。そこは成長しているといって差し支えない。ただ。
「それは一般的な学習ですよね」
「ええ。あたしが求めてるみたいなチートスキルに該当する、
本当はあなたが授業中に
「てか、先輩結局授業潜ってたんですね。私達を見てたってことは」
「当たり前じゃない。前回の教室は『
私は感心した。中学だか高校だかで習った対照実験––––平たく言えば、測りたいもの以外は同条件で行う実験のこと––––を遂行していたからだ。
「先輩の存在有無でそんなに変わりますかね?」
「変わるわよ。不審者が部屋にいるかいないかで、教室の空気感が変わって、個々の発言ハードルが上下して、それであなた達のコミュニケーションにも響くでしょ」
「はあ」
私は再度感心した。
「まあ、あなたが急激に成長しなかったなら、今回の立証は失敗ね」
「なんかすみません」
「
モニターは気づけば城の映像に変わっている。例の少年に兵士達は敬礼をし、少年と女の子3人のパーティは王に謁見している。
「まだあたしの仮説は否定されていないわ。あなたがチートスキルを得なかったというのは、簡単な話。あたしの仮説がダメなんじゃなくて、あなたが”選ばれなかった”ということ。よって」
「次の仮説を、立証しましょうか」
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