第二章 世界は一つではない

 もし、この世界が最初から一つの価値観で作られていないのだとしたら、次に浮かぶ疑問はこうだ。


 では、いくつの価値観が重なっているのか。


 私は、この問いに対して、「数え切れないほど多くの世界観が重なっている」と考えている。


 それらの各世界を創造したであろう存在を、ここでは便宜的に「神々」と呼ぶことにする。


 ここで言う神々とは、必ずしも超越的な存在ということではない。

 一つの世界を成立させるほどの、一貫した思想や価値観を持った、意志のある存在なのだと思う。


 それぞれの神々は、それぞれの理想をもとに、自分なりの「世界」を創った。


 ある神々は、秩序を重んじた世界を作り、

 ある神々は、競争によって成長する世界を作り、

 ある神々は、愛を中心に世界を組み立て、

 ある神々は、合理性を最優先に組み立てたのかもしれない。


 それらは本来、交わる必要のない、独立した世界だった。


 しかし、何らかの理由で、それらの世界は一つの場所に重なり合った。


 それが、今、私たちが生きているこの世界、この宇宙なのではないだろうか。


 だからこの世界には、善と悪が同時に存在し、正しさが衝突し、争いが生まれる。


 それは、誰かが間違っているからではない。


 前提となる「世界そのもの」が、もともと違っているからだ。


 それぞれの世界では通用することも、この世界では通用しなくて当然なのである。


 この宇宙の中に、複数の世界が存在しているのではなくて――。

 複数の世界の一部ずつが重なり合ってできたのが、この宇宙なのだということである。

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