エピローグ:承認された未来

春のあけぼのが、工場の窓から差し込み、銀色のロボットアームに淡い桃色の光を添えた。

ゼニス・システムズの訴訟は、結城が仕掛けた「オープンソース戦略」によって瓦解した。全国数万の町工場が、自分たちの技を一つの巨大な知能として結合させたのだ。

一社の特許が及ばないほどの、圧倒的な「集合知」。

ユーザーからは熱狂的な反応が寄せられた。

「自分の使っている包丁が、AIを通じて三河の名工の魂を継いでいる」

その体験が、単なる「モノ」以上の価値を生み、経済を再び加速させた。

佐藤は、新しく届いたロボットアームに、そっと手を触れた。機械の冷たさは、今や確かな鼓動パルスのように感じられる。

「ハル、次の工程の指示はできているか」

「はい。コミットメッセージは、もう決めてあります」

ハルが画面をタップする。そこには、力強い文字が躍っていた。

『未来への承認』。

鋼鉄の胎動は、もはや恐怖の足音ではない。

それは、不完全な人間が、AIと共に奏でる新しい祝祭の序曲だった。───。



この物語はフィクションです

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【小説】僕たちの鼓動は、まだシリコンに負けていない 文人 画人【人の心の「穴」を埋める】 @yamadahideo

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